青空文庫の全作品（313ページ目）

「将軍義輝が弑（しい）された。

毒くわば皿――ことわざ――［＃改ページ］※ひょっくり出会ったその時から、たとえ長の年つきが流れたにしても、思いだすたんびに鳩尾のへんがドキリとせずにはいられないような――そんな人物に、われわれの地方では時たまお目にかかることがある。

今日から「Ocean（オーション） の巻」と改めることに致しました。

その冷血漢温い心とは何物だらう？それからまごころといふことは？愛といふことは？私の父は悪者ではない。

吾輩のこと……何だ……吾輩の身上話を速記にして雑誌に掲載するから話せ……と云うのか。

前書一九三六年六月十八日。

鶏肋抄□霰、鉢の子にも（改作）□山へ空へ摩訶般若波羅密多心経（再録）□旅の法衣は吹きまくる風にまかす（〃）雪中行乞□雪の法衣の重うなる（〃）□このいたゞきのしぐれにたゝずむ（〃）□ふりかへる山はぐ（マヽ）れて（〃）――――□水は澄みわたるいもりいもりをいだき□住みなれて筧あふれる鶏肋集（追加）□青草に寝ころべば青空がある□人の子竹の子ぐいぐい伸びろ（酒壺洞君...

「ことしの残暑は随分ひどいね」お絹は楽屋へはいって水色の※※（かみしも）をぬいだ。

夏休の宿題やけ野原を、東助とヒトミが、汗をたらしながら、さまよっていた。

源氏長屋の怪いつものやうに、この話は、八五郎の早耳帳から始まります。

ルクリュ家へ一九一三年の初夏のころであつた。

白根入りをした宇津木兵馬は例の奈良田の湯本まで来て、そこへ泊ってその翌日、奈良王の宮の址（あと）と言われる辻で物凄い物を見ました。

話の本文この話は予の知るところでは、『太平記』十五巻に出たのが最も古い完全な物らしい、馬琴の『昔語質屋庫』二に、ある書にいわくと冒頭して引いた文も多分それから抄出したと見える。

ジャン・ミシェルの死三か年過ぎ去った。

緒言「賤民」の研究は我が民衆史上、風俗史上、最も重要なる地位を占むるものの一つとして、今日の社会問題を観察する上にとっても、参考となすべきものが少くない。

一月一日（日曜）昨夜三時すぎに眠った故、起きるの辛く、やっとの思いで床を出た。

逢（お）う魔が時刻秋も十一月に入って、お天気はようやく崩れはじめた。

死者の書戊寅、天子東狃二于沢中一。

第一章大衆文芸の定義一体、定義というものを、物の進行中に、未だ完成されていない未発達の状態にある時は与える事はむずかしい。

演題は「創作家の態度」と云うのであります。

怪貨物船あらわる！北緯二十度、東経百十五度。

※（きれい）広巳は品川の方からふらふらと歩いて来た。

第一編海底の惨劇一、海―武人の墓それは、夜暁までに幾ばくもない頃であった。

明治三十二年春月別れてながき君とわれ今宵あひみし嬉しさを汲てもつきぬうま酒に薄くれなゐの染いでし君が片頬にびんの毛の春風ゆるくそよぐかな。

宇治山田の米友は、山形雄偉なる胆吹山を後ろにして、しきりに木の株根を掘っています。

はじめにこの「四次元漂流」という妙な題名が、読者諸君を今なやましているだろうことは、作者もよく知っている。

次郎左衛門が野州佐野の宿を出る朝は一面に白い霜が降りていた。

八月七日（第一信）［自注１］〔巣鴨拘置所の顕治宛駒込林町より（代筆モネー筆「断崖」（一）、コロー「ルコント夫人」（二）の絵はがき）〕（一）七日、今朝程はお手紙呉々も有難う！ああちゃんが後手にかくして朝のお目ざめに持ってきてくれたのを、忽ち看破したまではよかったけれど、さて手にとってつくづく表紙を眺めて、封をきり、いたずら者のいない間に読もうと思ったらば、字が一つも字の格好にみえないで、すじのいり乱れで、どうみても物にならず、とうとう閉口して読んで貰う決心をつけました。

プロローグ私は、いろんなものを持っている。

自画像此所にトムさんと言ふ至つてお人好しの農夫がをりました、この村の人達は余りお人好しの［＃「お人好しの」は底本では「お好しの」］事をトムさんのやうだとよく言ひますが、全くトムさんはお人好しでした。

三遊亭圓朝子、曾て名人競と題し画工某及女優某の伝を作り、自ら之を演じて大に世の喝采を博したり。

予がここに東山時代における一縉紳の生活を叙せんとするのは、その縉紳の生涯を伝えることを、主なる目的としてのことではない。

北越雪譜二編巻越後塩沢鈴木牧之編撰江戸京山人百樹増修○越後の城下越後の国往古は出羽越中に距りし事国史に見ゆ。

［＃ページの左右中央］北海道に捧ぐ［＃改丁］十月の末だつた。

内宮と外宮の間にあるから間の山というのであって、その山を切り拓いて道を作ったのは天正年間のことだそうであります。

上金網の張ってある窓枠に両手がかゝって――その指先きに力が入ったと思うと、男の顔が窓に浮かんできた。

一月一日（土曜）曇寒ことしから又日記をつける。

二月十日二三日前から、東京には珍らしい大雪があった。

3でも、さびしくなるといつもあのヒコリーの風を感じているふりをするんだ〈ヒコリー・ウィンド〉グラム・パースンズ（バーズ）［＃改段］外も室内も静かになってたせいで、機械どもが吐き出すノイズが、このフロアを靄のようにつつんでいるのが、はっきりときこえるようになった。

渋谷家の始祖宮本百合子正隆が、愈々（いよいよ）六月に農科大学を卒業して、帰京するという報知を受取った、佐々未亡人の悦びは、殆ど何人の想像をも、許さないほどのものであった。

神秘的半獸主義岩野泡鳴入力者注 目次はしがき緒言（二）メーテルリンクの神秘説（三）エメルソンの『自然論』（上）（四）エメルソンの『自然論』（下）（五）エメルソンの特色と神秘的傾向（六）神秘家スヰデンボルグ（七）三者の愛論（八）神秘の語義（九）自然即心靈...

死をまへの木の葉そよぐなり陽を吸ふ死ぬる夜の雪ふりつもる生死のなかの雪ふりしきる十二月廿二日晴、汽車で五里、味取、星子宅。

人間柴田欣一郎誠その長男欣二次男双葉次女富本三平圭子清水八郎せい子お光浮浪者［＃改ページ］柴田一家が住み、食い、寝ているガランとした大きな洋室。

古き小画宮本百合子スーラーブは、身に迫るような四辺（あたり）の沈黙に堪えられなくなって来た。

序言私は当時、単なる失職者に過ぎなかった。

西洋人情話英国孝子ジョージスミス之伝三遊亭圓朝鈴木行三校訂・編纂御免を蒙（こうむ）りまして申上げますお話は、西洋人情噺（にんじょうばなし）と表題を致しまして、英国（えいこく）の孝子（こうし）ジョージ、スミスの伝、これを引続いて申上げます。

孝道は支那の國本で、又その國粹である。

自画像押入れから古い一束のはがきと手紙の包みが現われた。

――首縊つて死んぢまへ！お前が、さう言つたんぢやないか。

天井の高い、ガランとした田舎家の、大きな炉の傍に、寂然として座を占めているのが弁信法師であります。