私は書かうと思つてもどうしても書けないやうな時がある。
私は書かうと思つてもどうしても書けないやうな時がある。
萩の花については、私は二三の小さな思ひ出しか持つてゐない。
萩の花については、私は二三の小さな思ひ出しか持つてゐない。
神西君が僕のことを山のぼりなどしたやうに書いたものだから、みんながもつと身體に氣をつけて、あん...
神西君が僕のことを山のぼりなどしたやうに書いたものだから、みんながもつと身體に氣をつけて、あんまり無茶をしないやうにといつてよこす。
六月二十日これでもう山小屋に雨に降りこめられてゐること一週間。
六月二十日これでもう山小屋に雨に降りこめられてゐること一週間。
昔からよく隨筆の題にはその筆者の好む花の名などが用ひられてゐる。
昔からよく隨筆の題にはその筆者の好む花の名などが用ひられてゐる。
きのふプルウストの小説を讀んでゐましたら小説家のベルゴットの死を描いた一節に逢着しました。
きのふプルウストの小説を讀んでゐましたら小説家のベルゴットの死を描いた一節に逢着しました。
妻の母方の祖父は、土屋彦六といつて、明治のころ、靜岡で牧師をしてゐた。
妻の母方の祖父は、土屋彦六といつて、明治のころ、靜岡で牧師をしてゐた。
「馬車」は横光利一さんのもつとも特異な作品の一つである。
「馬車」は横光利一さんのもつとも特異な作品の一つである。
私が四歳の五月の節句のとき、隣家から發した火事のために、私の五月幟も五月人形もみんな燒けてしまつた。
私が四歳の五月の節句のとき、隣家から發した火事のために、私の五月幟も五月人形もみんな燒けてしまつた。
「我々はエマオの旅びとたちのやうに我々の心を燃え上らせるクリストを求めずにはゐられないのであらう。
「我々はエマオの旅びとたちのやうに我々の心を燃え上らせるクリストを求めずにはゐられないのであらう。
僕は讀んでゐるうちに何かしら氣味惡くなつてくるやうな作品が好きだ。
僕は讀んでゐるうちに何かしら氣味惡くなつてくるやうな作品が好きだ。
丁抹の若い貴族マルテ・ラウリッツ・ブリッゲがその敗殘の身をパリの一隅によせ、其處でうらぶれた人...
丁抹の若い貴族マルテ・ラウリッツ・ブリッゲがその敗殘の身をパリの一隅によせ、其處でうらぶれた人々にまじつて孤獨な生活をはじめる。
現代作家の中で誰が一番好きかと問はれたら、僕は躊躇せずにモオリアックの名を擧げるだらう。
現代作家の中で誰が一番好きかと問はれたら、僕は躊躇せずにモオリアックの名を擧げるだらう。
この「窓」(Les Fen※tres)一卷は、ライネル・マリア・リルケがその晩年餘技として佛蘭...
この「窓」(Les Fen※tres)一卷は、ライネル・マリア・リルケがその晩年餘技として佛蘭西語で試みたいくつかの小さな詩集のうちの一つである。
何か書きたいと思つて、いろいろ考へてゐるのだけれど、つい怠けて――怠けてゐるくらゐ僕の健康にい...
何か書きたいと思つて、いろいろ考へてゐるのだけれど、つい怠けて――怠けてゐるくらゐ僕の健康にいいことはないので――なかなか思ひ立つて書けないのです。
「羅馬を後にして、カンパニヤの野邊を横り、アルバノの山の東を走り、險しき山の崖、石多き川の谷を...
「羅馬を後にして、カンパニヤの野邊を横り、アルバノの山の東を走り、險しき山の崖、石多き川の谷を過ぎ、いつしかカッシノに著けば、近くモンテ・カッシノ山の聳ゆるあり、僧院の建物見ゆ。
私達は水族館を出ると、観音堂の裏をすこしばかり歩いた。
私達は水族館を出ると、観音堂の裏をすこしばかり歩いた。
――私は、中野重治の譯したハイネの手紙の寫しが以前から私の手許にあるので、それを私の雜誌に載せ...
――私は、中野重治の譯したハイネの手紙の寫しが以前から私の手許にあるので、それを私の雜誌に載せたいと思つてゐるが、二三個處意味不明のところがある。
お寒くなりましたしかしそれ以上に寒ざむしい世の中の變り果てた有樣のやうでございますねときどき東...
お寒くなりましたしかしそれ以上に寒ざむしい世の中の變り果てた有樣のやうでございますねときどき東京に行つて歸つてきた友人などに東京の話を聞くたびに、先生などいかがお暮らしかと、心の痛いやうな思ひをいたしますさういふ折など、いつぞや頂戴いたした御手づつの「古代感愛集」を披いては、さういふ一切を超えられた、先生の搖ぎもなさらぬやうなお姿を偲んでは、何かと心を擾しがちな自分の氣おくれを叱つて居りますかういふ現在において、「古代感愛集」はますます私には何よりも得難い書物となりました...
一九三〇年八月十七日、K村にて僕がホテルのベッドに横になつて、讀書をしてゐたら、窓から、向日葵...
一九三〇年八月十七日、K村にて僕がホテルのベッドに横になつて、讀書をしてゐたら、窓から、向日葵の奴がしきりにそれをのぞきこむのだ。
御質問にお答へするほど、日本の古典をよく讀んでゐませんので大變困りましたが、一、僅かに讀んだも...
御質問にお答へするほど、日本の古典をよく讀んでゐませんので大變困りましたが、一、僅かに讀んだものの中では、「更級日記」などが隨分好きです。
「……伊太利は好い效果を與へてくれましたけれど、こんどは私には北方が、空間が、風が必要になつた...
「……伊太利は好い效果を與へてくれましたけれど、こんどは私には北方が、空間が、風が必要になつたやうな氣がいたします……」と、一九〇四年四月二十九日、當時羅馬に滯在してキエルケゴオル、ヤコブセン等の作品を好んで讀んでゐたライネル・マリア・リルケはそのスカンヂナヴィア在住の女友達エレン・ケイに宛てて書いてゐる。
二三日前の或る温かなぽかぽかするやうな午後、僕はうかうかと三宅坂から赤坂見付まで歩いてしまつた。
二三日前の或る温かなぽかぽかするやうな午後、僕はうかうかと三宅坂から赤坂見付まで歩いてしまつた。
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