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清水紫琴の全作品

青空文庫で公開されている清水紫琴の全作品13篇を、おすすめ人気順で表示しています。

1〜13件 / 全13件
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「銀さんー」と、女は胸に手を差入れて、切ない思いをこらへながら、みんなあたしが悪かつたの、耐忍しておくれ、ねあたしだつて、何も酔興で、彼家へ嫁入つたといふのじやなしさ、お前さんも知つての通りな羽目になつて、よんどころなく、つひ……」と男の面をそつとながめて、ほろりとした。
恋愛を知らずして、恋愛を画くは。
上素麺は潰しても潰しの利かぬ学者の奥様山の手のどこやらに、是波霜太様とて、旦那は日々さるお役所の属官勤め、お髭もまだ薄墨の、多くはあらぬ御俸給ながら、奥様もさる学校の女教師様、お二方の収入を、寄合世帯の御仲睦しく、どちらが御主人とも分らぬ御会釈ぶり。
氷の塊かとも見ゆる冬の月は、キラキラとした凄しい顔を大空に見せてはをれど、人は皆夜寒に怖ぢてや、各家戸を閉ぢたれば、まだ宵ながら四辺寂として音もなし。
あなたは私のこの指環の玉が抜けておりますのがお気にかかるの、そりやアあなたのおつしやる通り、こんなにこわれたまんまではめておりますのは、あんまり見つともよくありませんから、何なりともはめかへれば、宜しいので……ですが私の為にはこの指環のこわれたのが記念でありますから、どうしてもこれをはめかへる事が出来ないのです。
上ゲエープツ、ああ酔つたぞ酔つたぞ真実に好い心持に酔つて。
その名にしあふ難波の街の金満家、軒を並ぶる今橋筋にもこは一際眼に立ちて、磨き立てたる格子造り美々しき一搆へ、音に名高き鴻の池とは、このお家の事であらうかと、道行く田舎人の眼を欹(そばだ)てぬもなしとかや。
その女学校これはこれはの顔ばかりと、人の悪口にいひつるは十幾年の昔にて、今は貴妃小町の色あるも、納言式部の才なくてはと、色あるも色なきも学びの庭へ通ふなる、実に有難の御世なれや、心利きたる殿原は女学校の門に斥候を放ちて、偵察怠りなきもあり、己れ自ら名のり出て、遠からむものは音にも聞け、近くは寄りて眼にも見よと、さすがにいひは放たねど、学識の高きを金縁の眼鏡にも示し、流行に後れぬ心意気を、洋服の仕立襟飾りの色にも見せて、我と思はむ姫あらばと、心に喚はりたまふもありとかや。
その上憎きもかの人、恋しきもかの人なりけり。
上身は錦繍に包まれて、玉殿の奥深くといふ際にこそあらね。
上五百機立てて綾錦、織りてはおろす西陣の糸屋町といふに、親の代より仲買商手広く営みて、富有の名遠近にかくれなき近江屋といふがあり。
その『監獄といへばあたまから、善人の行くべき処でないと思ふ人が多い。
第一回本郷西片町の何番地とやらむ。
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