書き出し
彼を待つもの長い戦争をはさんで、まる七年目に、京野等志は、変りはてた祖国の土を踏み、漠然と父母兄弟がそのまゝ以前のところに住んでいるなら、という期待だけで、自然に東京へ向つて二昼夜の汽車の旅をつづけて来たのである。
初出
1950年
(彼を待つもの「キング 第二十六巻第四号」1950(昭和25)年4月1日、はるかなる青春「キング 第二十六巻第五号」1950(昭和25)年5月1日、〔欠題〕「キング 第二十六巻第六号」1950(昭...)
底本
「岸田國士全集18」岩波書店, 1992(平成4)年3月9日