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伊庭心猿の全作品

青空文庫で公開されている伊庭心猿の全作品6篇を、おすすめ人気順で表示しています。

1〜6件 / 全6件
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市電は、三筋町で二三人おろすと、相變らず單調な音をきしらせ、東に向つてのろのろと進んだ。
かの日都を落ちて船橋にやどり申候きのふより市川町に戻りて百姓家を借りうけ、ともかくすごし居り候今宵は松葉の土手と申すを下りて渡船にのりて月を觀候なみ/\の旅ならねば落人の身の上いとゞ悲しく候これは殘少き眞間のもみぢに候處の名とは申ながら※[#「義」の「我」に代えて「咨−口」、U+7FA1、6-1-14]ましく候鬼共の都にて立騷ぎ候姿目に見えておもひ候やうに眠られず候この先いかゞ成行くべきかみづからも知らず候人のもとへ今日申遣はし候ことあり其...
御成道のうさぎや主人、谷口喜作さんから「先生はいまタカちやんと君のことを書いてゐるさうですよ」と知らされたのは、まだ空襲もさう激しくならない、たしか昭和十八年の春頃だつたと覺えてゐる。
一友に誘はれて久しぶりに向島を散歩したのは、まだ花には少しはやい三月なかばのことであつた。
「露伴忌がまた來ますね」と、今にもひよつこり、長髮をなびかせた面長の顏が、庭口からはいつて來さうな氣がする。
遠みちも夜寒になりぬ川向う「川向う」は隅田川東岸である。
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