羽仁もと子の全作品

［＃ページの左右中央］大正元年十月初版［＃改ページ］福々しき身の上となるために第一には容易に腹を立てないこと、第二には他人をうらやまないこと、第三には時とものとをむだにしないように働くこと。

めでたきものは今、世に来たりしみどり児。

人の世になによりも楽しいものは仕事である。

思慮というものの全然芽を出していない幼児には、ただ外形ばかりが強い問題である。

おさなごは、子宝のなかのさらに貴い宝です。

かわいいおさなご、幼児はいまもむかしも世界に充満しているけれど、そうして愛らしい意味でも、手のかかる意味でも、私たちの注意をその身のまわりにひきつけずにはおかない彼らだけれど、幼児というものをほんとうに知った人は、むかしから幾人いたでしょう。

人は結婚して夫婦になれば、だれでもどうしたら二人のあいだがつねに幸福に結びついてゆかれるだろうかと考えて、できるだけの努力をしようと思わない人はないでしょう。