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丘浅次郎の全作品

青空文庫で公開されている丘浅次郎の全作品26篇を、おすすめ人気順で表示しています。

1〜26件 / 全26件
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日露戦争の始まって以来、どの雑誌もほとんど戦争の話で持切りのありさまで、あるいは海戦陸戦の実況を報じ、あるいは戦時における人民の心得を論じていたが、これは時節柄もっともな次第であった。
世の中には便宜上つねに用いる語で、しかも便宜上、その意味を判然と定めずにおく語がいくらもある。
善とは何か、悪とは何か、善はなにゆえになすべきか、悪はなにゆえになすべからざるか等の問題は、すでに二千何百年も前のギリシア時代から今日にいたるまで、大勢の人々の論じたところであるが、昔の賢人の説いたところも、今の学者の論ずるところも、みな万物の霊たる人間についてのことばかりで、他の動物一般に関したことはほとんど皆無のようであるから、この点について日ごろ心に浮かんだことを試みに短くここに述べてみよう。
何事に限らず未来を説くのは決して容易ではない。
昨年は二十歳の娘で自殺をしたのが幾人もあった。
我国維新以後の教育の進歩は実に目覚ましいもので、其中でも初等教育は他の程度の教育に比して、遙に優つて居るとは教育雑誌上で度々承り及ぶ所であるが、之は誠に悦ばしい次第である。
すべて物は見方によって種々異なって見えるもので、同一の物でも見方を変えると、全く別物かと思われるほどに違って見えることもある。
ここに民種改善学というのは、近来西洋諸国で盛んに用いられるEugenicsという字を訳したものである。
天真爛漫ともいい、「天に偽りはなきものを」ともいうて、天には偽りはないものと、すでに相場が定まっているようであるが、その天の字を冠らせた天然界はいかにと見渡すと、ここには詐欺、偽りはきわめて平常のことで数限りなく行なわれている。
科学の中には教育のない人々からつねに誤解せられているものが少なくない。
近頃は理科奨励の声がすこぶる高い。
精神病患者の中には一種自分が非常に有力な神聖なものである如くに思ひ込んで、万事その積りで行ふ者がある。
世には人類の生存競争と他の動物の生存競争とは全く種類の違うたものであると考える人がある。
自然を征服し得たことは人類の最も誇りとする所である。
教育の書物を開いて見ると「教育トハ一定ノ目的ト方法トヲ具ヘテ教育者ガ被教育者ニ加フル所ノ働作ナリ」などとむずかしい定義を下して、これは人類のみに限るものであると書いてあるが、教育学者の言うところの教育はあるいは人類に限られてあるか知らぬが、教え育てるということは動物界において決して珍しいことではない。
先達て京阪地方へ旅行した際に、或る人から「貴君は、何故、理科大学の正科を修めずに撰科を出たか」と尋ねられた。
わが国は今より十数年前に一度支那と戦うて勝ち、また数年前には世界の強国なるロシアと戦うてこれに勝ち、その結果として国の位置が非常に進んで、一等国と称せられるにいたった、これは大いに喜ぶべきことである。
われわれのつねに見慣れている陸上の動物は、犬でも猫でも、鳥でも、雀でもみな一匹ずつ相離れて、おのおの独立の生活をしているゆえ、動物とさえいえば、すべて単独の生活をなすものであるごとき感じが起こるが、広く動物界を調べて見ると、多数相集まって団体を造って生活している種類も決して少なくはない。
進化論と衛生という表題を掲げたが、実は生物進化の一大原因なる自然淘汰と衛生との関係について述べたいとおもう。
教育の目的教育学の書物には教育の目的について、種々高尚なことが書いてあるようであるが、実際においては教育の目的は列国競争場裡に立って、立派に独立して行けるだけの資格を備えた次代の国民を養成するにあることはたしかである。
教育学の書物を開いて見ると、博物学の教育的価値を論ずるところにかならず次の一か条が掲げてある。
この題目を見て、奇態な題と考える人があるかも知れぬ。
人間の身体の内にある種々の器官は、いずれを取ってもその進化の経路を調べて見て、おもしろくないものはないが、その中でも特に脳髄は物を考える道具であるゆえ、それが今日のありさままでに発達しきたった由来を研究することは、学問を修める人等にとってはきわめて興味もあり、かつ有益なことであろう。
人間社会では財産はきわめて大切なもので、ほとんど生命に次いで貴重なものというてよろしい。
今日の世の中ほど人間のすることが互いに矛盾した時代はかつてあったであろうか。
はしがきこのたび本書の新版を出すにあたって、書肆からなるべく多く追加原稿をそろえてつけるようにとの要求を受けたが、前版以後におりおり雑誌上にかかげた文は別に「煩悶と自由」と題して、最近に出版したゆえ、本書に追加すべきものはほとんど一つも残っていない。
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