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岩本素白の全作品

青空文庫で公開されている岩本素白の全作品7篇を、おすすめ人気順で表示しています。

1〜7件 / 全7件
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越生と書いておごせという。
いま生きて居れば、すくなくとも百ちかい年の人であらう。
久し振りで京都の秋を観ようと、十月十五日の朝東京駅を発つ時、偶然会った山内義雄さんから、お宿はと聞かれて、実は志す家はあるが通知もしてないことをいうと、それでは万一の場合にと、名刺に書き添えた紹介を下すったが、それは鴨川に近い三本木という、かねて私もひそかに見当をつけたことのある静かな佳い場所であった。
樹の多い山の手の初夏の景色ほど美しいものはない。
流離のうちに秋が来た。
朝早く一乗寺村を歩いて、それから秋晴の八瀬大原、帰りに鞍馬へ登って山端の駅まで戻って来ると、折から小春日の夕日を受けた叡山が、ぽか/\と如何にも暖かそうな色をして居るので、つい誘われて再び八瀬へ取って返し、其処から山を踰(こ)えて坂本へ下りてしまった。
こがらし、筑波おろし、そういう言葉を明治中期の東京の少年達は早くから知って居た。
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