5分以内で読める北村透谷の短編作品

われかつて徒然草を読みける時、撰みて持つべき友の中に病ひある人を数へたり。

多くの仏学者中に於てルーソー、ボルテールの深刻なる思想を咀嚼（そしやく）し、之を我が邦人に伝へたるもの兆民居士を以て最とす。

關根正直氏の手に成りたる「小説史稿」は兔に角日本文學史の第一着手なり。

労苦界と戦争ヱデンの園にアダム、神の禁を破りし時、ヱホバは彼に告げて言ひけるは「汝は一生の間、労苦して其食を得ん」と。

兵甲と国家兵甲を以て国威を張るは変なり。

人は地に生れたるものにして、天を家とするものならず、人生は社会周辺の事実に囲まれてあるものなれば、性行を経綸すべき倫理なるもの一日も無かるべからざるなり。

過ぬる明治二十二年の秋、少数の有志相会して平和会なる者を組織せり。

思想の領地は栄光ある天門より暗濛たる深谷に広がれり。

其ある宵われ※（まど）にあたりて横はる。

事業を賤（いや）しむといふ事は「文学界」が受けたる攻撃の一なり。

其夢見まほしやと思ふ時、あやにくに夢の無き事あり、夢なかれと思ふ時、うとましき夢のもつれ入ることあり。

一夕友と与に歩して銀街を過ぎ、木挽町に入らんとす、第二橋辺に至れば都城の繁熱漸く薄らぎ、家々の燭影水に落ちて、はじめて詩興生ず。

「汝ら只ヱホバをかしこみ心をつくして誠にこれにつかへよ」（撒母耳前書第十二章二十四節）（七月分日課）この月の日課なる馬太伝の中には神の王国に就きて重要なる教へ多くあり。