書き出し
こゝに機械の哲学者がある―――彼は思考し、血潮の中に機械のどよめきをでなく、血潮と共に脈動する機械のリズムを感ずる彼ははつらつたる工場の諧調を背負うて、齟齬しながら鈍重に歩いて行くこゝに機械の哲学者がある―――彼は技師を宣言し、一切に正面照明を送る照明はゆかいに大大阪を漫歩する機械にまで虚偽を造る資本の虚偽と、百万の労働の精神とを透過し浮揚する二重性をもって、飢えた子供の胃のレントゲン絵にまで照入するこゝに機械の哲学者...
底本
「槇村浩詩集」平和資料館・草の家、飛鳥出版室, 2003(平成15)年3月15日