書き出し
おなじみの古調でハイネはしみじみとシュレジェンの織工の歌をぼくに告げた無慈悲な神々、王と、不実な祖国とえ三重の呪咀を織りこんだむかしの労働者の歌をその后ぼくは皇帝の監獄部屋で皇帝の親衛兵たちのボロを解きながら皇帝の緋色の衣装を拝受したこのマンチュリアの婦人服に似た着衣は皇帝の女囚によって織られた三重の呪咀は、高貴な織物の一片々々にしみわたっていた僕は毎朝監守の前で、わざとおどけた小供のような情熱をもってこの筒っぽの着更...
底本
「槇村浩詩集」平和資料館・草の家、飛鳥出版室, 2003(平成15)年3月15日