書き出し
幽かなエンジンの響――炭山の深夜午前三時朝退けの号笛未だ夜は明けぬ寝たげな共同風呂場とぎれとぎれの騒めきおい見たか――採炭部の掲示板浴槽の中は黙り勝ちだ午前四時半東の空白む発電所の煙突――クッキリとしてきた淡く電燈の息絶ゆく重く湛えた貯水池その辺の一軒長屋続々と黒い影阿母!みな集ったか――要らねいんだお茶は――...
初出
1928年
(「プロレタリア芸術」1928(昭和3)年3月号)
底本
「日本プロレタリア文学集・38 プロレタリア詩集(一)」新日本出版社, 1987(昭和62)年5月25日