書き出し
幸助けさ手紙をうけとったやっぱり達者でいてくれたかわたしは思わず手紙をおしいただいただもしやこの暑さでやられてでもいるのではないかと心配していたに牢やの中はどんなに暑いじゃろうねいそここそ地獄じゃもの夏は出来るだけ暑いように冬はなるべく寒いように仕掛けてあるんじゃろうさかいねコンクリで囲うた窓一つない箱みたいな建て物じゃと言うでないかようく障りなくいてくれた苦労ばかりかけてきたお母さんに...
初出
1930年
(「ナップ 第一巻第四号」戦旗社、1930(昭和5)年12月13日)
底本
「中野鈴子全詩集」フェニックス出版, 1980(昭和55)年4月30日