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児童書版

章魚人夫

広海大治
『章魚人夫』は青空文庫で公開されている広海大治の短編作品。1,011文字で、おおよそ5分以内で読むことができます。
文字数
5分以内   1,011 文字
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書き出し
北方の海には氷が張りつめた食物がなくなった章魚はおのれの足を食いつくした春四月まだ雪は南樺太の野を埋めている人夫は前借金二十五円にしばられて鉄道工事現場へ追い込まれたへばりついた大雪の残りが消えたドロ柳があおい芽をふいた流氷が去った海岸に鰊(にしん)が群来たけれどオホーツク嵐は氷の肌の様に寒いや伐材だ切取りだ低地へは土を盛れ岩石はハッパで砕けさあ、ツルだスコップだ...
初出
1932年   (「田園の花 二号」1932(昭和7)年4月刊)
底本
「日本プロレタリア文学集・39 プロレタリア詩集(二)」新日本出版社, 1987(昭和62)年6月30日
表記
新字新仮名
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広海大治 の人気作品

拡大されゆく国道前線
広海大治
(1)視野一面連る山脈の彼方に朝やけの赤い太陽――ペダルを力一杯地下足袋で踏んづけて工事場へ走る俺達爽涼たる朝霧の中に曲りくねった山峡の白い路杉と雑木と山の背の彼方に見えてはかくれかくれては現われる相棒の姿俺は呼びかける――おうい待てよう――ほーい山萩の垂れ下った曲路の向う側にあいつの自転車は消えてベルの音とこだまだけが深い谷間に残る――早う来んと歩が切...
5分以内
章魚人夫
広海大治
北方の海には氷が張りつめた食物がなくなった章魚はおのれの足を食いつくした春四月まだ雪は南樺太の野を埋めている人夫は前借金二十五円にしばられて鉄道工事現場へ追い込まれたへばりついた大雪の残りが消えたドロ柳があおい芽をふいた流氷が去った海岸に鰊(にしん)が群来たけれどオホーツク嵐は氷の肌の様に寒いや伐材だ切取りだ低地へは土を盛れ岩石はハッパで砕けさあ、ツルだスコップだ...
5分以内
サガレンの浮浪者
広海大治
ただようてくる温ったかい三平汁の香堪え兼ねて牧草の束に顔を埋めるしのびよる背筋の冷さ浅い眠りの夢は破れるああ!一杯の飯を食いたい赤い毛布を巻きつけたむくんだ足寒気は骨の中まで突き通す伸び放題の鼻ひげに呼吸は霜をたくわえ鼻孔はきんきんとひからびる破目板の隙間から躍り込む風小屋に舞う雪神楽やがて粉雪はうず高く層を重ねる辛うじて乾草の小屋に宿り打ち震え闇の中に聞く猛...
10分以内