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児童書版

レポーター

長沢佑
『レポーター』は青空文庫で公開されている長沢佑の短編作品。414文字で、おおよそ5分以内で読むことができます。
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5分以内   414 文字
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書き出し
夜の十一月北国はもう冬の寒さだ硝子屑のような鋭い空ッ風が日本海を越えて吹いて来る荒涼とした夜の越後平野に点々とみえるにぶい灯あれはみんな仲間の住家だ革命記念日の闘争を前にヨビ検の魔の手を逃れ移動事務所を此処に持った二人の書記今日で四日の穴居生活だ沈黙の中に一切の準備は終り武装された兵士は現在――戦いの野に旅たたんとしているそとは夜更けだ野末を渡る夜烏の声...
初出
1931年   (「プロレタリア詩」1931(昭和6)年11月号)
底本
「日本プロレタリア文学集・38 プロレタリア詩集(一)」新日本出版社, 1987(昭和62)年5月25日
表記
新字新仮名
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親父の言葉
長沢佑
この頃の寒さに足腰の痛みにわしは憶い出すんだ忰のことがやっぱり親子のつながりだわい「お前等にもわかる時が来る」今になって彼奴の言葉が身に滲みてくる彼奴の云ったこと彼奴のやって来たことやっぱり貧乏人のやらねばならんことだったのだ憶い出すと身震いがする彼奴の入営した翌年春の大争議にわしら四百の小作は××川の土堤で警官と軍隊に取り巻かれた鍬が飛んだ、石が飛んだ剣が抜かれ...
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白い魔の手
長沢佑
七月――焼けただれた太陽が地を射す幽明の地をめざして行進する華やかな一群臨時列車は、――海へ――山へ……………………誰だッ?汗を吝(お)しむ奴等は?土堤の上にはわんわんと燃えるかげろう、じりじりと焼きつける田の底頭上には、太陽がありったけの元気で踊ってる。
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母へ
長沢佑
一九二九年四月十六日未明、同志吉田君はやられた。
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貧農のうたえる詩
長沢佑
春――三月――薄氷をくだいておらあ田んぼを打っためっぽー冷こい水だ足が紫色に死んで居やがる今日は初田打晩には一杯飲めるべーと気付いたのでおらあ勇気を出したベッー※手に唾をひっかけて鍬の柄をにぎっただがやっぱりだめ手がかじかんで動かないちきしょうおらあやっぱり小作人なんだそれから夏が来た煮えかかるような田の中で俺達は除草機の役をする十日も続く指の先か...
5分以内