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60分以内で読める野村胡堂の中編作品(3ページ目)

青空文庫で公開されている野村胡堂の作品の中で、おおよその読了目安時間が「60分以内」の中編318作品を、おすすめ人気順に表示しています。

(12,001〜24,000文字の作品を対象としています。読了時間は「400字/分」の読書スピードで計算した場合の目安です)
101〜150件 / 全318件
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「親分、世の中に怪談というものはあるでしょうか」八五郎はまた、途方もないことを持込んでくるのです。
「親分はいらっしゃる?」「まア、お品さん、しばらくねえ、さア、どうぞ――」取次のお静は、手を取らぬばかりに、石原の利助の娘で、年増っぷりの美しいお品を招じ入れました。
「親分」ガラツ八の八五郎が、泳ぐやうに飛込んで來たのは、江戸中の櫻が一ぺんに咲き揃つたやうな、生暖かくも麗らかな或日の朝のことでした。
人間業では盗めそうもない物を盗んで、遅くとも三日以内には、元の持主に返すという不思議な盗賊が、江戸中を疾風のごとく荒し廻りました。
「あ、八五郎親分じゃありませんか」江の島へ行った帰り、遅くもないのに、土蔵相模で一と晩遊んだ町内の若い者が五六人、スッカラカンになって、高輪の大木戸を越すと、いきなり声を掛けたものがあります。
「あッ、大変、嫁御が死んでいる」駕籠の戸を押しあけた仲人の伊賀屋源六は、まさに完全に尻餅をつきました。
「親分、変な野郎が来ましたぜ」ガラッ八の八五郎は、モモンガアみたいな顔をして見せました。
江戸開府以来といわれた、捕物の名人銭形平次の手柄のうちには、こんな不思議な事件もあったのです。
順風耳の八五郎は、相變らず毎日一つくらゐづつは、江戸中から新聞種を掻き集めて來るのでした。
「親分、お願ひ、一つ出かけて下さい。
「ところで親分はどう思ひます」「ところで――と來たね、一體何をどう思はせようてんだ。
「親分、あっしはもう癪(しゃく)にさわってさわって」ガラッ八の八五郎は、いきなり銭形平次の前に、長い顎を漂わせます。
伯爵の悩み「千種君、暫らく此処へ掛けたまえ、平常あまり人が来ないから、掃除は行届かないが、その代り此(この)辺なら決して話を人に聞かれる心配は無い」私のためには旧藩主に当る元伯爵海原光栄氏は、尊大が通りものの顔を柔げて、広大な庭園の奥の、洒落た四阿の中に私を導き入れました。
「親分、金の茶釜を拝んだことがありますかい」ガラッ八の八五郎は、変なことを持込んで来ました。
プロローグ話し手の望月辛吉は、有名なジレッタントで、レコードの蒐集家の一人として知られた男でした。
「親分、良い陽気じゃありませんか。
「親分、こいつは変っているでしょう。
「親分の前だが――」ガラッ八の八五郎は、何やらニヤニヤとしております。
「親分、折角ここまで来たんだから、ちょいと門前町裏を覗いてみましょうか」銭形平次と子分の八五郎は、深川の八幡様へお詣りした帰り、フト出来心で結改場(楊弓場)を覗いたのが、この難事件に足を踏込む発端でした。
ガラッ八の八五郎は、こんないい心持になったことはありません。
「親分、面白い話があるんだが――」ガラッ八の八五郎は、木戸を開けて、長い顔をバアと出しました。
「親分、あれを聞きなすったかい」「あれ?上野の時の鐘なら毎日聞いているが――」銭形平次は指を折りました。
不思議な手紙「兄貴、こいつは一杯食わされたらしいぜ」「叱(し)ッ」関東新報の社会部長で、名記者と言われた千種十次郎は、好んで斯(こ)んな伝法な口をきく、部下の早坂勇――一名足の勇――をたしなめるように、霞門の方から入って来る狭い道を指しました。
話はガラッ八の八五郎から始まります。
「親分、良庵さんが来ましたぜ」「ヘエ――、朝から変った人が来るものだね、丁寧に通すがいい」銭形の平次は居ずまいを直して、客を迎えました。
「こいつは驚くぜ、親分」ガラツ八の八五郎は、相變らず素頓狂な聲を出し乍ら飛込んで來ました。
「親分、変なことがあるんだが――」ガラッ八の八五郎がキナ臭い顔を持ち込んだのは、まだ屠蘇(とそ)機嫌のぬけ切らぬ、正月六日のことでした。
元日の昼下り、八丁堀町御組屋敷の年始廻りをした銭形平次と子分の八五郎は、海賊橋を渡って、青物町へ入ろうというところでヒョイと立止りました。
「ガラッ八、俺をどこへ伴れて行くつもりなんだい」「まア、黙って蹤(つ)いてお出でなせい。
「八、あれに氣が付いたか」兩國橋の夕景、東から渡りかけて平次はピタリと足を停めました。
「親分、世間はたうとう五月の節句となりましたね」八五郎が感慨無量の聲を出すのです。
「さあ大變だ、親分」ガラツ八の八五郎は、髷先で春風を掻(か)きわけるやうにすつ飛んで來ました。
八五郎の顔の広さ、足まめに江戸中を駆け廻って、いたるところから、珍奇なニュースを仕入れて来るのでした。
流行歌手の死夜中の十二時――電気時計の針は音もなく翌る日の最初の時を指すと、社会部長の千種十次郎は、最後の原稿を一と纏(まと)めにして、ポンと統一部の助手の机に投りました。
「親分、山崎屋の隠居が死んだそうですね」ガラッ八の八五郎は、いつにない深刻な顔をして入って来ました。
「親分、あつしは百まで生きるときめましたよ」八五郎はまた、途方もない話を持ち込んで來るのです。
その頃錢形平次は、兇賊木枯の傳次を追つて、東海道を駿府へ、名古屋へ、京へと、揉みに揉んで馳せ上つて一と月近くも留守。
プロローグ奇談クラブその夜の話し手は、彫刻家の和久井献作でした。
「オヤお揃いだネ」カフェー人魚の闥(ドア)を押して、寒い風と一緒に飛込んで来たのは、関東新報記者の早坂勇――綽名を足の勇――という、筆より足の達者な男でした。
「親分、長生きをしたくはありませんか」八五郎がまた、途方もないことを言ふのです。
「姐(ねえ)さん、谷中にお化けが出るんだが、こいつは初耳でせう」松が取れたばかり、世界はまだ屠蘇(とそ)臭いのに、空つ風に吹き寄せられたやうな恰好で、八五郎は庭木戸へ顎を載せるのでした。
「變な噂がありますよ、親分」子分の八五郎がまた何にか嗅ぎつけて來た樣子です。
花嫁の自動車が衝突した「花嫁の自動車は?」「まだ来ない、どうしたのだろう、急行の発車まで、五分しかないじゃないか」「迎えに行って見ましょうか」東京駅の待合室に集った人達は次第に募る不安に、入口からまっ暗な外を眺めたり、売店や三等待合室を覗いたりしました。
「親分、ちょいと逢ってお願いしたいという人があるんだが――」ガラッ八の八五郎は膝っ小僧を揃(そろ)えて神妙に申上げるのです。
「親分、面白い話があるんだが――」ガラッ八の八五郎は、妙に思わせぶりな調子で、親分の銭形平次に水を向けました。
呪われた名曲「どうなさいました、貴方」若い美しい夫人の貴美子は、夫棚橋讃之助の後を追って帝劇の廊下に出ました。
両国に小屋を掛けて、江戸開府以来最初の軽業というものを見せた振袖源太、前髪立ちの素晴らしい美貌と、水際立った鮮やかな芸当に、すっかり江戸っ子の人気を掴(つか)んでしまいました。
「八、居るかい」向う柳原、七曲の路地の奧、洗ひ張り、御仕立物と、紙に書いて張つた戸袋の下に立つて、平次は二階に聲を掛けました。
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