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児童書版

閒花集

三好達治
『閒花集』は青空文庫で公開されている三好達治の短編作品。5,405文字で、おおよそ30分以内で読むことができます。
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30分以内   5,405 文字
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書き出し
[#ページの左右中央]この小詩集を梶井基次郎君の墓前に捧ぐ[#改丁]砂上海海よお前を私の思ひ出と呼ばう私の思ひ出よお前の渚に私は砂の上に臥よう海鹹からい水……水の音よお前は遠くからやつてくる私の思ひ出の縁飾り波よ鹹からい水の起き伏しよさうして渚を噛むがいいさうして渚を走るがいいお前の飛沫で私の睫(まつげ)を濡らすがいい鶯「籠の中にも季節は移る私は歌ふ私...
初出
1933年   (漁家「三田文學 八卷四號」1933(昭和8)年4月<br>平津「三田文學 八卷四號」1933(昭和8)年4月<br>村の犬「三田文學 八卷四號」1933(昭和8)年4月<br>揚げ雲雀「三田文學...)
底本
「三好達治全集第一卷」筑摩書房, 1964(昭和39)年10月15日
表記
旧字旧仮名
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測量船
三好達治
春の岬春の岬旅のをはりの鴎どり浮きつつ遠くなりにけるかも[#改ページ]乳母車母よ――淡くかなしきもののふるなり紫陽花いろのもののふるなりはてしなき並樹のかげをそうそうと風のふくなり時はたそがれ母よ私の乳母車を押せ泣きぬれる夕陽にむかつて※々(りんりん)と私の乳母車を押せ赤い総ある天鵞絨の帽子をつめたき額にかむらせよ旅いそぐ鳥の列に...
60分以内
南窗集
三好達治
鴉靜かな村の街道を筧が横に越えてゐるそれに一羽の鴉がとまつて木洩れ陽の中に空を仰ぎ地を眺め私がその下を通るときある微妙な均衡の上に翼を※(をさ)めて秤(はかり)のやうに搖れてゐた湯沸したぎり初めた湯沸し……それはお晝休みの小學校の校庭だ藤棚がある池がある僕らはそこでじやんけんする僕は走る僕は走る……かうして肱をついたまま夜の中にたぎり初めた湯沸し……靜夜柱時...
10分以内
測量船拾遺
三好達治
玻璃盤の胎児生れないのに死んでしまつた玻璃盤の胎児は酒精のとばりの中に昼もなほ昏々と睡る昼もなほ昏々と睡るやるせない胎児の睡眠は酒精の銀の夢にどんよりと曇る亜剌比亜数字の3だ生れないのに死んでしまつた胎児よお前の瞑想は今日もなほ玻璃を破らず青白い花の形に咲いてゐる[#改ページ]祖母祖母は蛍をかきあつめて桃の実のやうに合せた掌の中から...
60分以内
檸檬忌
三好達治
友よ友よ四年も君に會はずにゐる……さうしてやつと君がこの世を去つたのだとこの頃私は納得したもはや私は悲しみもなく愕きもなく(それが少しもの足りない)君の手紙を讀みかへす――昔のレコードをかけてみる。
5分以内