書狼書豚

辰野隆

パリに遊んだ人々は誰でもセーヌ左岸に列んでいる古本屋を決して忘れないだろう。

辰野隆

古は渇して盗泉の水を飲まず、今は盗泉の名を改めて飲む。

辰野隆

感傷主義――サンチマンタリスム――にも、ぴんからきりまである。

辰野隆

三年前に亡くなった母は、いたく雨を好んだ。

太宰治

メロスは激怒した。

中島敦

隴西の李徴は博学才穎、天宝の末年、若くして名を虎榜に連ね、ついで江南尉に補せられたが、性、狷介、自ら恃（たの）むところ頗（すこぶ）る厚く、賤吏に甘んずるを潔しとしなかった。

芥川竜之介

ある日の暮方の事である。

宮沢賢治

二人の若い紳士が、すっかりイギリスの兵隊のかたちをして、ぴかぴかする鉄砲をかついで、白熊のような犬を二疋（ひき）つれて、だいぶ山奥の、木の葉のかさかさしたとこを、こんなことを云（い）いながら、あるいておりました。