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かなしみ
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『かなしみ』は青空文庫で公開されている高見順の短編作品。2,981文字で、おおよそ10分以内で読むことができます。
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書き出し
赤羽の方へ話をしに行つた日は白つぽい春の埃が中空に舞ひ漂つてゐる日であつたが、その帰りに省線電車の長い席のいちばん端に私が腰掛けて向うの窓のそとのチカチカ光る空気にぼんやり眼をやつてゐるといふと、上中里か田端だつたかで、幼な子を背負つたひとりの若い女が入つてきて手には更に滅法ふくらんだ風呂敷をさげてをつた。
初出
底本
「日本の名随筆99 哀」作品社, 1991(平成3)年1月25日
表記
新字旧仮名
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