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1時間〜で読める牧野信一の長編作品

青空文庫で公開されている牧野信一の作品の中で、おおよその読了目安時間が「1時間〜」の長編11作品を、おすすめ人気順に表示しています。

(24,001文字〜の作品を対象としています。読了時間は「400字/分」の読書スピードで計算した場合の目安です)
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強ひては生活のかたちに何んな類ひの理想をも持たない、止め度もなく愚かに唯心的な私であつた。
或日彼は、過去の作品を一まとめにして、書物にすることで、読みはじめると、大変に情けなくなつて、恥で、火になつた。
彼の昨日の今日である、樽野の――。
テオドル・ルーズベルトが、一九〇二年に大統領の覇権を獲得して、九年までの二期、その前後に於けるW・マツキンレイ及びW・H・タフト――彼等三者の数年間にわたる激しい争覇戦は、北米政戦史の花吹雪と謳はれて、今尚機会のあるごとに多くの人々に噂をのこしてゐるものであるが、――丁度その時代に恰もそれらの三代表の鼎立に伴れて、ワシントン、フイラデルヒア、ハーバードの三大学蹴球争覇戦が、中部地方の人気を弥が上にも湧き立てたといふはなしは、無論そんなお祭り騒ぎの出来事は、夢のやうに消え去つ...
彼が、単独で清友亭を訪れたのはそれが始めてだつた。
ふつと、軽い夢が消えると、窓先を白い花が散つてゐた。
岡といふ彫刻家のモデルを務めて私がそのアトリヱへ通ひ、日が延びる程の遅々たるおもむきで、その等身胸像の原型が造られてゆくありさまを緯となし、その間に巻き起る多様なる人事を経として、そしてその胸像が完成される日までを同時に本篇の完結と目指して、これには凡そ四五十枚の前篇がありますが、それはそれとして、新たに稿をすゝめます。
「傍の者までがいらいらして来る。
小田原から静岡へ去つて、そこで雛妓のお光とたつた二人だけで小さな芸妓屋を始めたといふ話のお蝶を訪ねよう――さう思ふことゝ、米国ボストンのFに、最近の自分の消息を知らせなければならないこと――。
卓子に頬杖をして滝本が、置額に容れたローラの写真を眺めながら、ぼんやりと物思ひに耽つてゐた時、「守夫さん、いらつしやるの?」と、稍激した調子の声が、窓の外から聞えてきた。
「この一年半ほどのあひだ……」せめても彼は、時をそれほどの間に限りたかつた。
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