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30分以内で読める牧野信一の短編作品(2ページ目)

青空文庫で公開されている牧野信一の作品の中で、おおよその読了目安時間が「30分以内」の短編88作品を、おすすめ人気順に表示しています。

(4,001〜12,000文字の作品を対象としています。読了時間は「400字/分」の読書スピードで計算した場合の目安です)
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氷嚢の下旅まくら熱になやみて風を聴くとり落した手鏡の破片にうつるいくつものわが顔湖はひかりてふるさとは遠い*夜をこめて吹き荒んだ風が、次の日もまたその次の日も絶え間もなく鳴りつづけてゐるといふ――そのやうな風に私はこの町ではぢめて出遇つた。
転地してゐる義妹へ何や彼やと毎日のことばかりに追はれて、ついついお手紙さへも書きおくれて居りましたこと、どうぞおゆるし下さい。
先月は殆んど一ト月、新緑の中の海辺や山の温泉につかつて文字といふ文字は何ひとつ目にもせず蝶々などを追ひかけて暮し、その間に何か際立つた作品が現れてゐたかも知れないが、それまでは今年になつてからといふものわたしは、その読後感を誌す目的で毎月つゞけて月々の多くの雑誌を読んで来た。
川瀬美奈子――。
「君は一度も恋の悦びを経験した事がないのだね。
おそらくあの娘は、私より二つか三つぐらゐの年上だつたに違ひないのだが私には相当のおとなに見えた。
或る理学士のノートから――この望遠鏡製作所に勤めて、もう半年あまり経ち、飽性である僕の性質を知つてゐる友人連は、あいつにしては珍らしい、あの朝寝坊がきちん/\と朝は七時に起き、夕方までの勤めを怠りなくはたして益々愉快さうである、加けに勤めを口実にして俺達飲仲間からはすつかり遠ざかつて、まるで孤独の生活を繰返してゐるが、好くもあんなに辛抱が出来たものだ――などゝ不思議がり、若しかすると、あいつ秘かに恋人でも出来て結婚の準備でもしてゐるのかも知れない――そんな噂も...
一ヶ月あまりは、またそれで旅に暮しても十分とおもつてゐたのに、私は迂闊にも自分が再び相当の飲酒者に立ち戻つてゐたのを忘れてゐた為に、二三ヶ所をわたり歩いて未だ二週間も経たぬ間に、もう国元へ電報を打たなければならぬ状態だつた。
鶴子からの手紙だつたので彼は、勇んでY村行の軽便鉄道に乗つた。
綽名だけは一人前――悪党きどりの不良少年――母島村長の懇望から三十人をけふ島送り――。
羽根蒲団の上に寝ころんでゐるやうだ――などゝ私は思つた位でした。
窓に限られた小さな空が紺碧に澄み渡つて、――何かかう今日の一日は愉快に暮せさうな、といふやうな爽々しい気持が、室の真中に上向けに寝転むだ儘、うつとりとその空を眺めあげた私の胸にふはふはと感ぜられました。
――「泳ぎ位ゐ三日も練習したら出来さうなものだがな!」私は、此間うちから、かくれて読んでゐた水泳術の本を、鍵のかゝつた本箱の抽斗しから取り出して来て開いた。
(満里子の手帳から――)冬のお休みになつたら今年もまた兄さん達といつしよに赤倉のスキーへ行くことを、あんなに楽しみにしてゐたのに、いざとなつたら母さんが何うしてもあたしだけを許して下さらないのだ。
「ね、お祖母さん――」半分あまつたれるやうな口調で彼は、もぐ/\云はせながら祖母の炬燵の中へ割込むで行つた。
郊外に間借りをしてゐた森野が或る夕方ステツキをグル/\回しながら散歩してゐると、停車場のちかくで、ひとりの美しい婦人に呼びかけられた。
その頃ナンシーは、土曜から日曜にかけて毎週きまつて私を横浜から訪れて、私に従つて日本語を習ふのだと称してゐた。
私は岡村純七郎の長男で純太郎といふ名前である。
芝区で、二本榎の谷間に部屋を借りてゐた。
三月もかゝると云はれてゐる病院へ滝は、毎日、日暮時に通つてゐた。
千九百三十年、クリスマスにちかき頃――。
そとは光りに洗はれた月夜である。
羽根蒲団の上に寝ころんでゐるやうだ――などと私は思つたくらゐでした。
川の向ひ側の山裾の芝原では、恰度山の神様の祭りの野宴がはじまるところでした。
往来で騒いでゐる声が何うも自分を呼んでゐるらしく思はれるので私は、ペンを擱いて、手の平を耳の後ろに翳した。
縁側の敷居には硝子戸がはまつてゐる。
父親からの迎へが来次第、アメリカへ渡るといふ覚悟を持たせられてゐて、私は小学校へ入る前後からカトリツク教会のケラアといふ先生に日常会話を習ひはじめてゐた。
いつも私はひとりで、教室の一番うしろの席について、うつらうつらと窓の外を眺めてゐる文科の学生であつたが、毎時間毎時間そんな風にして居眠りをしたり、屋根を見あげたりしてゐるうちに、恰度私の窓と真向ひにあたる政治部の教室で、やはり私と同じやうにぼんやりとして此方の窓を眺めたり、空を見あげたりしてゐる眼の据つた何処となく鷲を想像させるかのやうな精悍な容貌の学生と顔なじみになつてしまつた。
(第一日)快晴――私は八時に起床して、いでたちをとゝのへ、首途の乾杯を挙げ、靴を光らせ、そして妻の腕を執り、口笛の、お江戸日本橋――の吹奏に歩調を合せながら、この武者修業のテープを切つた。
彼は、自分の父親を取りいれた短篇小説を続けて二つ書いた。
眠つても眠つても眠り足りないやうな果しもなくぼんやりした頭を醒すために私は、屡々いろいろな手段を講じる。
私は夏の中頃から、鬼涙村の宇土酒造所に客となつて膜翅類の採集に耽つてゐた。
彼は徳利を倒にして、細君の顔を見返つた。
泉岳寺前の居酒屋の隅で私が、こつぷ酒を睨めながら瞑想に耽つてゐると、奥で亭主と守吉の激しい口論であつた。
ひとりのスパルタの旅人が述べてゐた。
三月六日前日中に脱稿してしまはうと思つてゐた筈の小説が、おそらく五分の一もまとまつてはゐなかつた。
海辺の連中は雨が降ると皆な池部の家に集まるのが慣ひだつた。
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