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児童書版

一の酉

武田麟太郎
『一の酉』は青空文庫で公開されている武田麟太郎の中編作品。15,110文字で、おおよそ60分以内で読むことができます。
文字数
60分以内   15,110 文字
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書き出し
帯と湯道具を片手に、細紐だけの姿で大鏡に向ひ、櫛(くし)をつかつてゐると、おきよが、ちよつと、しげちやん、あとで話があるんだけど、と云つた、――あらたまつた調子も妙だが、それよりは、平常は当のおしげをはじめ雇人だけではなく、実の妹のおとしや兄の女房のおつねにまでも、笑ひ顔一つ見せずつんとしてすまし込んでゐるのに、さう云ひながら、いかにも親しさうな眼つきでのぞき込んだのが不思議であつた。
初出
底本
「現代文学大系 44 武田麟太郎・島木健作・織田作之助集」筑摩書房, 1967(昭和42)年
表記
新字旧仮名
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