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金史良の全作品

青空文庫で公開されている金史良の全作品8篇を、おすすめ人気順で表示しています。

1〜8件 / 全8件
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ある重苦しい雲の垂れこめた日の朝、京城での有名な廓(くるわ)、新町裏小路のとある娼家から、みすぼらしい風采の小説家玄竜がごみごみした路地へ、投げ出されるように出て来た。
私の語ろうとする山田春雄は実に不思議な子供であった。
荒潮の渦巻く玄海灘を中心にして、南朝鮮、済州、対馬、北九州等の間には、昔から伝説にもあるように住民の漂流がしばしばあったと云われている。
棒の両端に叺(かます)を吊して、ぶらんぶらん担ぎ廻る例の「皆喰爺」が、寮の裏で見える度に、私は尹書房を思い出すのだ。
町の北、丘を越えたところにじめじめした荒蕪地がある。
内地へ来て以来かれこれ十年近くなるけれど、殆(ほと)んど毎年二三度は帰っている。
X市在住土工達の親方コブセの噂はかねがね耳にはさんでいたが、私がじかに彼と会ったのは、金鵄がまだ九銭から十銭になる直前だから、ついこの間のことである。
牛車や荷馬車、貨物自動車等のごったがえしている場末の鉄道踏切を渡ると、左の方へ小さな田圃路が折れている。
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