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5分以内で読める中原中也の短編作品

青空文庫で公開されている中原中也の作品の中で、おおよその読了目安時間が「5分以内」の短編107作品を、おすすめ人気順に表示しています。

(〜2,000文字の作品を対象としています。読了時間は「400字/分」の読書スピードで計算した場合の目安です)
1〜50件 / 全107件
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夏の夜の博覧会は、哀しからずや雨ちよと降りて、やがてもあがりぬ夏の夜の、博覧会は、哀しからずや女房買物をなす間、象の前に僕と坊やとはゐぬ、二人蹲(しやが)んでゐぬ、かなしからずや、やがて女房きぬ三人博覧会を出でぬかなしからずや不忍ノ池の前に立ちぬ、坊や眺めてありぬそは坊やの見し、水の中にて最も大なるものなりき、かなしからずや、髪毛風に吹かれつ見てありぬ、見てありぬ、かなしからずや...
七銭でバットを買つて、一銭でマッチを買つて、――ウレシイネ、僕は次の峠を越えるまでに、バットは一と箱で足りると思つた。
私はもう歌なぞ歌はない誰が歌なぞ歌ふものかみんな歌なぞ聴いてはゐない聴いてるやうなふりだけはするみんなたゞ冷たい心を持つてゐて歌なぞどうだつてかまはないのだそれなのに聴いてるやうなふりはするそして盛んに拍手を送る拍手を送るからもう一つ歌はうとするともう沢山といつた顔私はもう歌なぞ歌はないこんな御都合な世の中に歌なぞ歌はない(一九三五・九・一九)。
さよなら、さよなら!いろいろお世話になりましたいろいろお世話になりましたねえいろいろお世話になりましたさよなら、さよなら!こんなに良いお天気の日にお別れしてゆくのかと思ふとほんとに辛いこんなに良いお天気の日にさよなら、さよなら!僕、午睡の夢から覚めてみるとみなさん家を空けておいでだつたあの時を妙に思ひ出しますさよなら、さよなら!...
雪の野原の中に、一条のレールがあつて、そのレールのずつと地平線に見えなくなるあたりの空に、大きなお月様がポツカリと出てゐました。
宮沢賢治全集第一回配本が出た。
山の上には雲が流れてゐたあの山の上で、お弁当を食つたこともある……女の子なぞといふものは由来桜の花弁のやうに、欣(よろこ)んで散りゆくものだ近い過去も遠いい過去もおんなじこつた近い過去はあんまりまざまざ顕現するし遠いい過去はあんまりもう手が届かない山の上に寝て、空をみるのも此処にゐて、あの山をみるのも所詮は同じ、動くな動くなあゝ、枯草を背に敷いてやんわりぬ...
空は晴れてても、建物には蔭があるよ、春、早春は心なびかせ、それがまるで薄絹ででもあるやうにハンケチででもあるやうに我等の心を引千切りきれぎれにして風に散らせる私はもう、まるで過去がなかつたかのやうに少くとも通つてゐる人達の手前さうであるかの如くに感じ、風の中を吹き過ぎる異国人のやうな眼眸をして、確固たるものの如く、また隙間風にも消え去るものの如くさうしてこの淋しい心を抱いて、今年...
58号の電車で女郎買に行つた男が梅毒になつた彼は12の如き沈黙の男であつたに腕々々交通巡査には煩悶はないのか自殺せぬ自殺の体験者は障子に手を突込んで裏側からみてゐましたアカデミッシャンは予想の把持者なのに……今日天からウヅラ豆が畠の上に落ちてゐました。
桑名の夜は暗かつた蛙がコロコロ鳴いてゐた夜更の駅には駅長が綺麗な砂利を敷き詰めたプラットホームに只(ただ)独りランプを持つて立つてゐた桑名の夜は暗かつた蛙がコロコロ泣いてゐた焼蛤貝の桑名とは此処のことかと思つたから駅長さんに訊(たづ)ねたらさうだと云つて笑つてた桑名の夜は暗かつた蛙がコロコロ鳴いてゐた大雨の、霽(あが)つたばかりのその夜は風もなければ暗かつた...
彼は幸福に書き付けました、とにかく印象の生滅するまゝに自分の命が経験したことのその何の部分をだつてこぼしてはならないとばかり。
扇子と香水――君、新聞紙を絹風呂敷には包みましたか夕の月が風に泳ぎますアメリカの国旗とソーダ水とが恋し始める頃ですね。
神よ、私は俗人の奸策ともない奸策がいかに細き糸目もて編みなされるかを知つてをります。
陽気な文学をといふ声がするが、では陽気とはいつたいどんなことなのだらう。
私が貧乏で、旅行としいへば殆んど夏にしかしないからかも知れない、………夏と聞くと旅愁が湧いて来て、却々「夏は四季のうち、自然の最も旺んなる時なり」どころではない、なんだか哀れにも懐しいといつた風で、扨この夏はどうしようかなと思ふと、忽ちに嘗て旅した何処かの、暑い暑い風景が浮んで来て、おもへば遠く来つるかなと、そいつた気持に胸はふくらむで来るのである。
夕飯を終へると、彼はがつかりしたといつた風に夕空を眺めながら、妻楊子を使ひはじめた。
人性の中には、かの概念が、殆んど全く容喙出来ない世界があつて、宮沢賢治の一生は、その世界への間断なき恋慕であつたと云ふことが出来る。
こころまゝなる人間は、いつでも海が好きなもの!これは、ボオドレエルの「人と海」といふ詩の、第一行である。
蝉が鳴いてゐる、蝉が鳴いてゐる蝉が鳴いてゐるほかになんにもない!うつらうつらと僕はする……風もある……松林を透いて空が見えるうつらうつらと僕はする。
芸術に関するあらゆる議論は無用である。
生きのこるものはづうづうしく、死にゆくものはその清純さを漂はせ物云ひたげな瞳を床にさまよはすだけで、親を離れ、兄弟を離れ、最初から独りであつたもののやうに死んでゆく。
何、あれはな、空に吊した銀紙ぢやよかう、ボール紙を剪(き)つて、それに銀紙を張る、それを綱か何かで、空に吊し上げる、するとそれが夜になつて、空の奥であのやうに光るのぢや。
不随意筋のケンクワハイフェンの多い生活△が○を描いて――あゝスイミツトーが欲しい。
汽車が聞える蓮華の上を渡つてだらうか内的な刺戟で筆を取るダダイストは勿論サンチマンタルですよ。
天才が一度恋をすると思惟の対象がみんな恋人になります。
酒梅原因が分りません蜘蛛は五月雨に逃げ場を失ひましたキセルを折れキセルを折れ犬が骨を……ヘン、如何です?。
あなたが生れたその日にぼくはまだ生れてゐなかつた途中下車して無効になつた切符が古洋服のカクシから出て来た時恐らく僕は生れた日といふもの。
ダツクドツクダクンチエンダンデンピー……フー……ボドー……弁当箱がぬくもる工場の正午は鉄の尖端で光が眠る。
俺は、俺の脚だけはなして脚だけ歩くのをみてゐよう――灰色の、セメント菓子を噛みながら風呂屋の多いみちをさまよへ――流しの上で、茶碗と皿は喜ぶに俺はかうまで三和土の土だ――。
田の中にテニスコートがありますかい?春風ですよろこびやがれ凡俗!名詞の換言で日が暮れようアスファルトの上は凡人がゆく顔顔顔石版刷のポスターに木履の音は這ひ込まう。
バルザックバルザック腹の皮が収縮する胃病は明治時代の病気らしいそんな退屈は嫌で嫌で悟つたつて昂奮するさ同時性が実在してたまるものか空をみて涙と仁丹雨がまた降つて来る。
恋を知らない街上の笑ひ者なる爺やんは赤ちやけた麦藁帽をアミダにかぶりハツハツハツ「夢魔」てえことがあるものかその日蝶々の落ちるのを夕の風がみてゐました思ひのほかでありました恋だけは――恋だけは。
依田氏の「春愁」は好きです。
夕刊売来てみれば此処も人の世散水車があるから汽車の煙が麦食べた実用を忘れて歯ブラッシを買つてみた青い紙ばかり欲しくてそれなのに唯物史観だつた砂袋スソがマクレますパラソルを倒に持つものがありますか浮袋が湿りました。
タタミの目時計の音一切が地に落ちただが圧力はありません舌がアレましたヘソを凝視めます一切がニガミを帯びましただが反作用はありません此の時夏の日の海が現はれる!思想と体が一緒に前進する努力した意志ではないからです。
風船玉の衝突立て膝立て膝スナアソビ心よ!幼き日を忘れよ!煉瓦塀に春を発見した福助人形の影法師孤児の下駄が置き忘れてありました公園の入口ペンキのはげた立札心よ!詩人は着物のスソを狂犬病にクヒチギられたが……!。
結果から結果を作る飜訳の悲哀――尊崇はたゞ道中にありました再び巡る道は「過去」と「現在」との沈黙の対坐です一度別れた恋人とまたあたらしく恋を始めたが思ひ出と未来での思ひ出がヲリと享楽との乱舞となりました一度といふことの嬉しさよ。
頁頁頁歴史と習慣と社界意識名誉欲をくさして名誉を得た男もありました認識以前の徹定土台は何時も性慾みたいなもの上に築れたものゝ価値十九世期は土台だけをみて物言ひました○×××○×××○×××飴に皮がありますかい女よダダイストを愛せよ。
認識以前に書かれた詩――沙漠のたゞ中で私は土人に訊(たづ)ねました「クリストの降誕した前日までにカラカネの歌を歌つて旅人が何人こゝを通りましたか」土人は何にも答へないで遠い沙丘の上の足跡をみてゐました泣くも笑ふも此の時ぞ此の時ぞ泣くも笑ふも。
最も弱いものは弱いもの――最も強いものは強いもの――タバコの灰は霧の不平――燈心は決闘――最も弱いものが最も強いものに――タバコの灰が燈心に――霧の不平が決闘に嘗てみえたことはありませんでしたか?――それは初恋です。
過程に興味が存するばかりですそれで不可ないと言ひますか生活の中の恋が原稿紙の中の芸術です有限の中の無限は最も有限なそれでした君の頭髪を一本一本数へてそれから人にお告げなさいテーマが先に立つといふ逆論はアルファベットの芸術です集積よりも流動が魂は集積ではありません。
テンピにかけて焼いたろかあんなヘナチヨコ詩人の詩百科辞典を引き廻し鳥の名や花の名やみたこともないそれなんかひつぱり出して書いたつて――だがそれ程想像力があればね――やい!いつたい何が表現出来ました?自棄のない詩は神の詩か凡人の詩かそのどつちかと僕が決めたげます。
何故取れない!何故取れない!電球よ暑くなれ!冬の野原を夏の風が行くに煙が去つた情熱の火が突進するブツカルものもなく――だから不可ない昔からあつたものだのに今新たに起つたものだそれを如何して呉れるい横から眺めてゐるな誰の罪でもない必要ぢやない欲しいだけだ。
ツツケンドンに女は言ひつぱなして出て行つた襖の上に灰がみえる眼窩の顛倒鳥の羽斜に空へ!……対象の知れぬ寂しみ神様はつまらぬものゝみをつくつた盥の底の残り水古いゴムマリ十能が棄てられました雀の声は何といふ生唾液だ!雨はまだ降るだらうかインキ壺をのぞいてニブリ加減をみよう。
私の部屋の、窓越しにみえるのは、エヤ・サイン軽くあがつた二つの気球青い空は金色に澄み、そこから茸(きのこ)の薫りは生れ、娘は生れ夢も生れる。
親の手紙が泡吹いた恋は空みた肩揺つた俺は灰色のステッキを呑んだ足足足足足足足万年筆の徒歩旅行電信棒よ御辞儀しろお腹の皮がカシヤカシヤする胯の下から右手みた一切合切みんな下駄フイゴよフイゴよ口をきけ土橋の上で胸打つたヒネモノだからおまけ致します。
ウハキはハミガキウハバミはウロコ太陽が落ちて太陽の世界が始つた[#「始つた」は底本では「始まつた」]テツポーは戸袋ヒヨータンはキンチヤク太陽が上つて夜の世界が始つたオハグロは妖怪下痢はトブクロレイメイと日暮が直径を描いてダダの世界が始つた(それを釈迦が眺めてそれをキリストが感心する)。
秋の日は、干物の匂ひがするよ外苑の鋪道しろじろ、うちつづき、千駄ヶ谷森の梢のちろちろと空を透かせて、われわれを視守る如し。
正直過ぎては不可ません親切過ぎては不可ません女を御覧なさい正直過ぎ親切過ぎて男を何時も苦しめますだが女から正直にみえ親切にみえた男は最も偉いエゴイストでした思想と行為が弾劾し合ひ智情意の三分法がウソになりカンテラの灯と酒宴との間に人の心がさ迷ひますあゝ恋が形とならない前その時失恋をしとけばよかつたのです。
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