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児童書版

雪の白峰

小島烏水
『雪の白峰』は青空文庫で公開されている小島烏水の短編作品。5,894文字で、おおよそ30分以内で読むことができます。
文字数
30分以内   5,894 文字
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書き出し
アルプスに Alpine Glow(山の栄光)という名詞がある、沈む日が山の陰へ落ちて、眼にも見えなくなり、谷の隅々隈々に幻の光が、夢のように彷徨(さまよ)い、また消えようとするとき、二、三分の間、雪の高嶺に、鮮やかな光が這(は)って、山の三角的天辺が火で洗うように耀(かがや)く、山は自然の心臓から滴れたかと思う純鮮血色で一杯に染まる、まことに山の光栄は落日である、さればラスキンも『近世画家論』第二巻に、渚へ寄する泡沫と、アルプス山頂の雪とは、海と山とを描いて、死活の岐れるところだという...
初出
底本
「山岳紀行文集 日本アルプス」岩波文庫、岩波書店, 1992(平成4)年7月16日
表記
新字新仮名
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