10分以内で読める宮本百合子の短編作品

この社会に公明正大に生きてゆくためには、公私の別をよくわきまえていかなければならない。

世界平和大会へ日本の代表は行くことができなかった。

今行われる少女小説について私は自分の荷にあまるほどいろいろの事を考えさせられるんです。

十二月二十七日湯ヶ島へ出立。

『新日本文学』に「町工場」という小説を発表した小沢清という若いひとが、「軍服」という小説をかいた。

尊敬する宋慶齢夫人に。

紫苑が咲き乱れている。

パール・バック夫人が主として中国人の生活を描いているのに対して、アリス・ホバード夫人は「揚子江」で、中国における白人の生活と闘争とを描いている。

あちこちに廃墟が出来てから、東京という都会の眺望は随分かわった。

この間さがさなければならない本があって銀座の紀伊国屋へよったらば、欲しいものはなかったかわり、思いがけずパウル・ヴォルフの傑作写真集が飾窓に出ているのに気がついた。

十月三十一日晴起きてみると誰の姿も見えず。

三・一五というと、今日では日本の解放運動史の上に、知らない人のない記念日となった。

私は映画がすきなくせにいつも野暮ったい観かたばかりしているのだけれど、さきごろの「カッスル夫妻」でも、いろいろの印象をのこされた。

「愛怨峡」では、物語の筋のありふれた運びかたについては云わず、そのありきたりの筋を、溝口健二がどんな風に肉づけし、描いて行ったかを観るべきなのだろう。

○一昨年十二月二十五日新日本文学主催の文学者のファシズム反対講演会東條処刑Ａ級戦犯釈放「安部源基」1931年満州侵略がはじまったころ、大泉、小畑をつかっていた男。

これは、いかにもひま人らしい質問です。

わたしの青春について語るとき、そこには所謂階級的なヒロイズムもないし、勤労者的な自誇もない。

この頃は朝早く出かけることが多くて、電車へのるところまで歩く間に、どっさり学生にすれちがう。

三月十五日に発行された文学新聞に、無名戦士の墓へ合葬された人々の氏名が発表されていた。

いまはもう鹿児島県に入らない土地となった奄美大島の徳之島という島から十二歳の少女が収容船にのって国立癩療養所星塚敬愛園にはいって来た。

人間が、人間らしく幸福に住むためには、どの位の空間がいるものでしょう。

今年はいろいろな意味で非常に重大な年だと思います。

この間、『サン』を見ていたら、福島県のどこかの村の結婚式の写真が出ていた。

文学と歴史とのいきさつは、極めて多面で動的で、相互の連関の間に消長して行っているのが実際だと思う。

恋愛は、実に熱烈で霊感的な畏ろしいものです。

「伸子」の続篇をかきたい希望は、久しい間作者の心のうちにたくわえられていた。

ラジオの生活性ラジオは誰でも毎日耳で聴いているものだ、ということについて、今日ラジオを送り出す方の側の人々は、どんな感覚をもっているのだろうか。

ああいう事の起る第一の原因は、女性も男性も、自分の心を一応考えて見るだけ頭脳の訓練を持っていないことだと思います。

二三日前の夜、おそく小田急に乗った。

白いところに黒い大きい字でヴェルダンと書いたステーションへ降りた。

羽仁五郎氏は、この真心を傾けて執筆された独特な伝記を、有名なダヴィテの像に今日見ることの出来るミケルアンジェロの不滅の生命から語りはじめていられる。

若々しい時代の影響私たちの育った時代の父と母との生活ぶりを考えると、若い生活力の旺な自分たちの生活への態度そのものの中に幼い子供たちをひっくるめて前進して行ったという感じがする。

その時分に、まだ菊人形があったのかどうか覚えていないが、狭くって急な団子坂をのぼって右へ曲るとすぐ、路の片側はずっと須藤さんの杉林であった。

どんな作家でも、自分の書く本が立派にこしらえられ、そして見事に売れることをよろこびとする。

「貧しき人々の群」は一九一六年、十八歳のときに書かれた。

○床の間の上の長押に功七級金鵄勲章の金額のところはかくれるような工合に折った書類が茶色の小さい木の椽に入ってかかっている、針金で。

昨今の複雑で又変動の激しい世相は、一方に真面目な歴史研究への関心を刺戟しているが、若い婦人たちの間にも、益々多岐多難な女性の日常生活についての自省とともに、人類の長い歴史の消長のなかで女はどのような社会的歩きかたをして来たものかという女性史についての探求心が旺になっているのは、現代日本の興味ある一つの現象であると思う。

用事があって、岩手県の盛岡と秋田市とへ数日出かけた。

二三日前にふった雪がまだとけずにまっしろく日にかがやいている。

年の暮れに珍しくお砂糖の配給があった。

婦人デーといえば、三月八日と誰でも知っていることではあるが、そのおこりは、どういうところからはじまったのだろう。

ト翁は、人間が結婚を欲するのは、情慾に動かされるからだ、と云って居るのを、彼の日記の中に見る。

十月一日『新女苑』20枚「若き精神の成長を描く作品」『明日への精神』発売。

はなしはちょっとさかのぼるが、一月六日アカハタ「火ばな」に「宮本さんの話」という投書があった。

一九三〇年の初夏、レニングラードから「トラム」劇団がモスクワへ興行に来た。

いよいよきたる十二月十日から一週間北京でアジア婦人大会がひらかれます。

古いころから文学に関し、或はエレン・ケイの思想紹介に関し、様々の文化的活動をされた本間さんのお家で、そのお嬢さん達が友達をも交えて、親御さんをもともに座談会をもたれたという事は、私に何か印象を与えた。

最近の統計によると、日本人の人口比率において婦人の人口が三百万ばかり男子人口よりも多くなっていることが示されました。

メーデーからはじまって、五月は国民一般の祝日の多い月だった。

あんまりはっきり晴れ渡らない空合で、風も静かに気にかからぬまでに吹いて居る。