書き出し
本論大食人の通商西暦八世紀の初頃から、十五世紀の末に、ヨーロッパ人が東洋に來航する頃まで、約八百年の間は、アラブ人が世界の通商貿易の舞臺に立つて、尤も活躍した時代で、殊に西暦八世紀の後半に、Abb※s 王朝が縛達 Baghd※d に都を奠めて以來、彼等は海上から印度や支那方面の通商に尤も力を注いだ。
初出
1923年
(「宋末の提擧市舶西域人蒲壽庚の事」東亜攻究会(上海)、1923(大正12)年11月)
底本
「桑原隲藏全集 第五卷 蒲壽庚の事蹟 考史遊記」岩波書店, 1968(昭和43)年2月13日