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5分以内で読める小山内薫の短編作品

青空文庫で公開されている小山内薫の作品の中で、おおよその読了目安時間が「5分以内」の短編3作品を、おすすめ人気順に表示しています。

(〜2,000文字の作品を対象としています。読了時間は「400字/分」の読書スピードで計算した場合の目安です)
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これは狐か狸だろう、矢張、俳優だが、数年以前のこと、今の沢村宗十郎氏の門弟で某という男が、或(ある)夏の晩他所からの帰りが大分遅くなったので、折詰を片手にしながら、てくてく馬道の通りを急いでやって来て、さて聖天下の今戸橋のところまで来ると、四辺は一面の出水で、最早如何することも出来ない、車屋と思ったが、あたりには、人の影もない、橋の上も一尺ばかり水が出て、濁水がゴーゴーという音を立てて、隅田川の方へ流込んでいる、致方がないので、衣服の裾を、思うさま絡上げて、何しろこの急流故、流されては一...
俳優というものは、如何いうものか、こういう談を沢山に持っている、これも或(ある)俳優が実見した談だ。
私の実見は、唯のこれが一度だが、実際にいやだった、それは曾(かつ)て、麹町三番町に住んでいた時なので、其家の間取というのは、頗(すこぶ)る稀(ま)れな、一寸字に書いてみようなら、恰(あだか)も呂の字の形とでも言おうか、その中央の棒が廊下ともつかず座敷ともつかぬ、細長い部屋になっていて、妙に悪るく陰気で暗い処だった。
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