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60分以内で読める南部修太郎の中編作品

青空文庫で公開されている南部修太郎の作品の中で、おおよその読了目安時間が「60分以内」の中編5作品を、おすすめ人気順に表示しています。

(12,001〜24,000文字の作品を対象としています。読了時間は「400字/分」の読書スピードで計算した場合の目安です)
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「好いかよう……」と、若い水夫の一人が、間延びのした太い聲で叫びながら船尾の纜(ともづな)を放すと、鈍い汽笛がまどろむやうに海面を掠めて、船は靜かに函館の舊棧橋を離れた。
高橋順介、それが猫又先生の本名である。
頭の禿げた、うす穢いフロツク姿の老人の指揮者がひよいと立ち上つて指揮棒を振ると、何回目かの、相變らず下品な調子のフオツクス・トロツトが演奏團席の方で始まつた。
――水野敬三より妻の藤子に宛てた手記――昨日、宵の内から降り出したしめやかな秋雨が、今日も硝子戸の外にけぶつてゐる。
猫の唸聲「ふウん、臺所に電氣がついてる‥‥」凍りついた雪の道に思はず足を止めて、若い農夫のカアルソンは宵闇の中に黒く浮んでゐる二階建の別荘の方へおびえたやうな視線を投げた。
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