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30分以内で読める泉鏡花の短編作品

青空文庫で公開されている泉鏡花の作品の中で、おおよその読了目安時間が「30分以内」の短編56作品を、おすすめ人気順に表示しています。

(4,001〜12,000文字の作品を対象としています。読了時間は「400字/分」の読書スピードで計算した場合の目安です)
1〜50件 / 全56件
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上実は好奇心のゆえに、しかれども予は予が画師たるを利器として、ともかくも口実を設けつつ、予と兄弟もただならざる医学士高峰をしいて、某の日東京府下の一病院において、渠(かれ)が刀を下すべき、貴船伯爵夫人の手術をば予をして見せしむることを余儀なくしたり。
汽車は寂しかつた。
雨霽の梅雨空、曇つてはゐるが大分蒸し暑い。
これは喜多八の旅の覺書である――今年三月の半ばより、東京市中穩(おだや)かならず、天然痘流行につき、其方此方から注意をされて、身體髮膚これを父母にうけたり敢て損ひ毀らざるを、と其(そ)の父母は扨(さ)て在さねども、……生命は惜しし、痘痕は恐し、臆病未練の孝行息子。
きのふは仲秋十五夜で、無事平安な例年にもめづらしい、一天澄渡つた明月であつた。
若いのと、少し年の上なると……この二人の婦人は、民也のためには宿世からの縁と見える。
孰(いづ)れが前に出来たか、穿鑿(せんさく)に及ばぬが、怪力の盲人の物語りが二ツある。
一瀬を低い瀧(たき)に颯(さつ)と碎(くだ)いて、爽かに落ちて流るゝ、桂川の溪流を、石疊で堰(せ)いた水の上を堰(せき)の其(そ)の半ばまで、足駄穿で渡つて出て、貸浴衣の尻からげ。
上広告拙者昨夕散歩の際此(この)辺一町以内の草の中に金時計一個遺失致し候間御拾取の上御届け下され候御方へは御礼として金百円呈上可仕候月日あーさー、へいげんこれ相州西鎌倉長谷村の片辺に壮麗なる西洋館の門前に、今朝より建てる広告標なり。
旅は此(これ)だから可い――陽氣も好と、私は熟として立つて視て居た。
もとより何故という理はないので、墓石の倒れたのを引摺寄せて、二ツばかり重ねて台にした。
湯島の境内(婦系図―戯曲―一齣)※(みまわ)冴(さ)返る春の寒さに降る雨も、暮れていつしか雪となり、仮声使、両名、登場。
古くから、人も知つた有名な引手茶屋。
一月うまし、かるた會(くわい)に急ぐ若き胸は、駒下駄も撒水に辷(すべ)る。
上總國上野郡に田地二十石ばかりを耕す、源五右衞と云(い)ふ百姓の次男で、小助と云(い)ふのがあつた。
上こゝに信州の六文錢は世々英勇の家なること人の能く識る處(ところ)なり。
雛(ひな)――女夫雛は言うもさらなり。
京師の張廣號は、人參の大問屋で、聞えた老鋪。
傳(つた)へ聞く、唐土長安の都に、蒋生と云(い)ふは、其(そ)の土地官員の好い處(ところ)。
朝六つの橋を、その明方に渡った――この橋のある処は、いま麻生津という里である。
枕に就いたのは黄昏の頃、之(これ)を逢魔が時、雀色時などといふ一日の内人間の影法師が一番ぼんやりとする時で、五時から六時の間に起つたこと、私が十七の秋のはじめ。
上席上の各々方、今や予が物語すべき順番の来りしまでに、諸君が語給いし種々の怪談は、いずれも驚魂奪魄の価値なきにあらず。
こゝに先づ一個の裸美人ありと仮定せよ、一代女に記したる、(年紀は十五より十八まで、当世顔は少し丸く、色は薄花桜にして面道具の四つ不足なく揃ひて、目は細きを好まず、眉濃く、鼻の間せはしからず次第高に、口小さく、歯並あら/\として皓(しろ)く、耳長みあつて縁浅く、身を離れて根まで見透き、額はわざとならず自然の生えどまり、首筋立伸びて後れなしの後髪、手の指はたよわく長みあつて爪薄く、足は八文三分に定め、親指反つて裏すきて、胴間常の人より長く、腰しまりて肉置逞ましからず、尻付豊かに、物腰衣裳つき...
近ごろ近ごろ、おもしろき書を読みたり。
夫人堂神戸にある知友、西本氏、頃日、摂津国摩耶山の絵葉書を送らる、その音信に、なき母のこいしさに、二里の山路をかけのぼり候。
紫の幕、紅の旗、空の色の青く晴れたる、草木の色の緑なる、唯うつくしきものの弥が上に重なり合ひ、打混じて、譬(たと)へば大なる幻燈の花輪車の輪を造りて、烈しく舞出で、舞込むが見え候のみ。
上去にし年秋のはじめ、汽船加能丸の百餘の乘客を搭載して、加州金石に向ひて、越前敦賀港を發(はつ)するや、一天麗朗に微風船首を撫(な)でて、海路の平穩を極めたるにも關(かゝ)はらず、乘客の面上に一片暗愁の雲は懸れり。
上何心なく、背戸の小橋を、向こうの蘆(あし)へ渡りかけて、思わず足を留めた。
今は然る憂慮なし。
これは作者の閲歴談と云ふやうなことに聞えますと、甚だ恐縮、ほんの子供の内に読んだ本についてお話をするのでございますよ。
田舎の娘であらう。
加賀の国黒壁は、金沢市の郊外一里程の処にあり、魔境を以て国中に鳴る。
機会がおのずから来ました。
もとの邸町の、荒果てた土塀が今もそのままになっている。
此(こ)の不思議なことのあつたのは五月中旬、私が八歳の時、紙谷町に住んだ向うの平家の、お辻(つじ)といふ、十八の娘、やもめの母親と二人ぐらし。
「このくらいな事が……何の……小児のうち歌留多を取りに行ったと思えば――」越前の府、武生の、侘(わび)しい旅宿の、雪に埋れた軒を離れて、二町ばかりも進んだ時、吹雪に行悩みながら、私は――そう思いました。
雨が、さつと降出した、停車場へ着いた時で――天象は卯(う)の花くだしである。
柏崎海軍少尉の夫人に、民子といつて、一昨年故郷なる、福井で結婚の式をあげて、佐世保に移住んだのが、今度少尉が出征に就き、親里の福井に歸(かへ)り、神佛を祈り、影膳据ゑつつ座にある如く、家を守つて居るのがあつた。
金澤の正月は、お買初め、お買初めの景氣の好い聲(こゑ)にてはじまる。
団欒石段菊の露秀を忘れよ東枕誓[#改ページ]団欒後の日のまどいは楽しかりき。
上「こりゃどうも厄介だねえ。
番茶を焙(ほう)じるらしい、いゝ香気が、真夜中とも思ふ頃芬(ぷん)としたので、うと/\としたやうだつた沢は、はつきりと目が覚めた。
「謹さん、お手紙、」と階子段から声を掛けて、二階の六畳へ上り切らず、欄干に白やかな手をかけて、顔を斜に覗(のぞ)きながら、背後向きに机に寄った当家の主人に、一枚を齎(もた)らした。
予が寄宿生となりて松川私塾に入りたりしは、英語を学ばむためにあらず、数学を修めむためにあらず、なほ漢籍を学ばむことにもあらで、他に密に期することのありけるなり。
「團子が貰(もら)ひたいね、」と根岸の相坂の團子屋の屋臺へ立つた。
麗姫惟(おも)ふに、描ける美人は、活ける醜女よりも可也(なり)。
山吹つつじが盛だのに、その日の寒さは、俥(くるま)の上で幾度も外套の袖をひしひしと引合せた。
蛙(かへる)小石川傳通院には、(鳴かぬ蛙(かへる))の傳説がある。
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