二人の若い紳士が、すっかりイギリスの兵隊のかたちをして、ぴかぴかする鉄砲をかついで、白熊のよう...
二人の若い紳士が、すっかりイギリスの兵隊のかたちをして、ぴかぴかする鉄砲をかついで、白熊のような犬を二疋(ひき)つれて、だいぶ山奥の、木の葉のかさかさしたとこを、こんなことを云(い)いながら、あるいておりました。
……ある牛飼いがものがたる第一日曜オツベルときたら大したもんだ。
……ある牛飼いがものがたる第一日曜オツベルときたら大したもんだ。
おかしなはがきが、ある土曜日の夕がた、一郎のうちにきました。
おかしなはがきが、ある土曜日の夕がた、一郎のうちにきました。
雪渡りその一(小狐の紺三郎)雪がすっかり凍って大理石よりも堅くなり、空も冷たい滑らかな青い石の...
雪渡りその一(小狐の紺三郎)雪がすっかり凍って大理石よりも堅くなり、空も冷たい滑らかな青い石の板で出来ているらしいのです。
軽便鉄道の停車場のちかくに、猫の第六事務所がありました。
軽便鉄道の停車場のちかくに、猫の第六事務所がありました。
ある古い家の、まっくらな天井裏に、「ツェ」という名まえのねずみがすんでいました。
ある古い家の、まっくらな天井裏に、「ツェ」という名まえのねずみがすんでいました。
虔十はいつも縄の帯をしめてわらって杜(もり)の中や畑の間をゆっくりあるいているのでした。
虔十はいつも縄の帯をしめてわらって杜(もり)の中や畑の間をゆっくりあるいているのでした。
博物局十六等官キュステ誌私の町の博物館の、大きなガラスの戸棚には、剥製ですが、四疋(ひき)の蜂...
博物局十六等官キュステ誌私の町の博物館の、大きなガラスの戸棚には、剥製ですが、四疋(ひき)の蜂雀がいます。
ある晩、恭一はぞうりをはいて、すたすた鉄道線路の横の平らなところをあるいて居りました。
ある晩、恭一はぞうりをはいて、すたすた鉄道線路の横の平らなところをあるいて居りました。
病床たけにぐさに風が吹いてゐるといふことであるたけにぐさの群落にも風が吹いてゐるといふことであ...
病床たけにぐさに風が吹いてゐるといふことであるたけにぐさの群落にも風が吹いてゐるといふことである[#改ページ]眼にて云ふだめでせうとまりませんながぶがぶ湧いてゐるですからなゆふべからねむらず血も出つづけなもんですからそこらは青くしんしんとしてどうも間もなく死にさうですけれどもなんといゝ風でせうもう清明が近いのであんなに青ぞらからもりあがって...
蜘蛛と、銀色のなめくじとそれから顔を洗ったことのない狸とはみんな立派な選手でした。
蜘蛛と、銀色のなめくじとそれから顔を洗ったことのない狸とはみんな立派な選手でした。
夏休みの十五日の農場実習の間に、私どもがイギリス海岸とあだ名をつけて、二日か三日ごと、仕事が一...
夏休みの十五日の農場実習の間に、私どもがイギリス海岸とあだ名をつけて、二日か三日ごと、仕事が一きりつくたびに、よく遊びに行った処がありました。
松の木や楢(なら)の木の林の下を、深い堰(せき)が流れて居りました。
松の木や楢(なら)の木の林の下を、深い堰(せき)が流れて居りました。
(一)[#「(一)」は縦中横]一本木の野原の、北のはづれに、少し小高く盛りあがった所がありました。
(一)[#「(一)」は縦中横]一本木の野原の、北のはづれに、少し小高く盛りあがった所がありました。
四又(よまた)の百合(ゆり)宮沢賢治「正※知(しょうへんち)はあしたの朝の七時ごろヒームキャの...
四又(よまた)の百合(ゆり)宮沢賢治「正※知(しょうへんち)はあしたの朝の七時ごろヒームキャの河(かわ)をおわたりになってこの町にいらっしゃるそうだ」こう言(い)う語(ご)がすきとおった風といっしょにハームキャの城(しろ)の家々にしみわたりました。
あるとき、三十疋(ぴき)のあまがえるが、一緒に面白く仕事をやって居りました。
あるとき、三十疋(ぴき)のあまがえるが、一緒に面白く仕事をやって居りました。
そのとき私は大へんひどく疲れていてたしか風と草穂との底に倒れていたのだとおもいます。
そのとき私は大へんひどく疲れていてたしか風と草穂との底に倒れていたのだとおもいます。
一本木の野原の、北のはずれに、少し小高く盛りあがった所がありました。
一本木の野原の、北のはずれに、少し小高く盛りあがった所がありました。
そのとき西のぎらぎらのちぢれた雲のあいだから、夕陽は赤くななめに苔(こけ)の野原に注ぎ、すすき...
そのとき西のぎらぎらのちぢれた雲のあいだから、夕陽は赤くななめに苔(こけ)の野原に注ぎ、すすきはみんな白い火のようにゆれて光りました。
キッコの村の学校にはたまりがありませんでしたから雨がふるとみんなは教室で遊びました。
キッコの村の学校にはたまりがありませんでしたから雨がふるとみんなは教室で遊びました。
学者のアラムハラドはある年十一人の子を教えておりました。
学者のアラムハラドはある年十一人の子を教えておりました。
清夫は今日も、森の中のあき地にばらの実をとりに行きました。
清夫は今日も、森の中のあき地にばらの実をとりに行きました。
つめたいいじの悪い雲が、地べたにすれすれに垂れましたので、野はらは雪のあかりだか、日のあかりだ...
つめたいいじの悪い雲が、地べたにすれすれに垂れましたので、野はらは雪のあかりだか、日のあかりだか判らないようになりました。
このおはなしは、ずゐぶん北の方の寒いところからきれぎれに風に吹きとばされて来たのです。
このおはなしは、ずゐぶん北の方の寒いところからきれぎれに風に吹きとばされて来たのです。
「わたしらの先祖やなんか、鳥がはじめて、天から降って来たときは、どいつもこいつも、みないち様に...
「わたしらの先祖やなんか、鳥がはじめて、天から降って来たときは、どいつもこいつも、みないち様に白でした。
ある死火山のすそ野のかしわの木のかげに、「ベゴ」というあだ名の大きな黒い石が、永いことじぃっと...
ある死火山のすそ野のかしわの木のかげに、「ベゴ」というあだ名の大きな黒い石が、永いことじぃっと座っていました。
時、一千九百二十年代、六月三十日夜、処、イーハトヴ地方、人物、キュステ博物局十六等官ファゼロフ...
時、一千九百二十年代、六月三十日夜、処、イーハトヴ地方、人物、キュステ博物局十六等官ファゼロファリーズ小学校生徒山猫博士牧者葡萄園農夫衣裳係オーケストラ指揮者弦楽手鼓器楽手給仕其他曠原紳士、村の娘多勢、ベル、人数の歓声、Hacienda, the society Tango のレコード、オーケストラ演奏、甲虫の...
楢夫は夕方、裏の大きな栗(くり)の木の下に行きました。
楢夫は夕方、裏の大きな栗(くり)の木の下に行きました。
〔いたつきてゆめみなやみし〕いたつきてゆめみなやみし、(冬なりき)誰ともしらず、そのかみの高麗...
〔いたつきてゆめみなやみし〕いたつきてゆめみなやみし、(冬なりき)誰ともしらず、そのかみの高麗の軍楽、うち鼓して過ぎれるありき。
種山ヶ原というのは北上山地のまん中の高原で、青黒いつるつるの蛇紋岩や、硬い橄欖岩からできています。
種山ヶ原というのは北上山地のまん中の高原で、青黒いつるつるの蛇紋岩や、硬い橄欖岩からできています。
よく晴れて前の谷川もいつもとまるでちがって楽しくごろごろ鳴った。
よく晴れて前の谷川もいつもとまるでちがって楽しくごろごろ鳴った。
「何の用でここへ来たの、何かしらべに来たの、何かしらべに来たの。
「何の用でここへ来たの、何かしらべに来たの、何かしらべに来たの。
おとら狐(ぎつね)のはなしは、どなたもよくご存じでしょう。
おとら狐(ぎつね)のはなしは、どなたもよくご存じでしょう。
(一)[#「(一)」は縦中横]耕平は髪も角刈りで、おとなのくせに、今日は朝から口笛などを吹いて...
(一)[#「(一)」は縦中横]耕平は髪も角刈りで、おとなのくせに、今日は朝から口笛などを吹いてゐます。
ひなげしはみんなまっ赤に燃えあがり、めいめい風にぐらぐらゆれて、息もつけないようでした。
ひなげしはみんなまっ赤に燃えあがり、めいめい風にぐらぐらゆれて、息もつけないようでした。
十日の月が西の煉瓦塀にかくれるまで、もう一時間しかありませんでした。
十日の月が西の煉瓦塀にかくれるまで、もう一時間しかありませんでした。
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