蓬平作墨蘭図一幀、司馬江漢作秋果図一幀、仙厓作鐘鬼図一幀、愛石の柳陰呼渡図一幀、巣兆、樗良、蜀...
蓬平作墨蘭図一幀、司馬江漢作秋果図一幀、仙厓作鐘鬼図一幀、愛石の柳陰呼渡図一幀、巣兆、樗良、蜀山、素檗、乙二等の自詠を書せるもの各一幀、高泉、慧林、天祐等の書各一幀、――わが家の蔵幅はこの数幀のみなり。
島木さんに最後に会ったのは確か今年(大正十五年)の正月である。
島木さんに最後に会ったのは確か今年(大正十五年)の正月である。
豊島は僕より一年前に仏文を出た先輩だから、親しく話しをするようになったのは、寧ろ最近の事である。
豊島は僕より一年前に仏文を出た先輩だから、親しく話しをするようになったのは、寧ろ最近の事である。
風に靡(なび)いたマツチの炎ほど無気味にも美しい青いろはない。
風に靡(なび)いたマツチの炎ほど無気味にも美しい青いろはない。
一、病中閑なるを幸ひ、諸雑誌の小説を十五篇ばかり読む。
一、病中閑なるを幸ひ、諸雑誌の小説を十五篇ばかり読む。
「貴君の作品の中で、愛着を持つてゐらつしやるものか、好きなものはありませんか」と云はれると、一...
「貴君の作品の中で、愛着を持つてゐらつしやるものか、好きなものはありませんか」と云はれると、一寸困る。
アダムとイヴと小さい男の子と小さい女の子とが、アダムとイヴとの画を眺めてゐた。
アダムとイヴと小さい男の子と小さい女の子とが、アダムとイヴとの画を眺めてゐた。
三円で果亭の山水を買つて来て、書斎の床に掛けて置いたら、遊びに来た男が皆その前へ立つて見ちや「...
三円で果亭の山水を買つて来て、書斎の床に掛けて置いたら、遊びに来た男が皆その前へ立つて見ちや「贋物ぢやないか」と軽蔑した。
僕はコンクリイトの建物の並んだ丸の内の裏通りを歩いてゐた。
僕はコンクリイトの建物の並んだ丸の内の裏通りを歩いてゐた。
僕の知れる江戸っ児中、文壇に縁あるものを尋ぬれば第一に後藤末雄君、第二に辻潤君、第三に久保田万...
僕の知れる江戸っ児中、文壇に縁あるものを尋ぬれば第一に後藤末雄君、第二に辻潤君、第三に久保田万太郎君なり。
国民文庫刊行会の「世界名作大観」の第一部の十六冊の――どうも少し長い。
国民文庫刊行会の「世界名作大観」の第一部の十六冊の――どうも少し長い。
机僕は学校を出た年の秋「芋粥」といふ短篇を新小説に発表した。
机僕は学校を出た年の秋「芋粥」といふ短篇を新小説に発表した。
上海の商務印書館から世界叢書と云ふものが出てゐる。
上海の商務印書館から世界叢書と云ふものが出てゐる。
――沢木梢氏に――おれの家の二階の窓は、丁度向うの家の二階の窓と向ひ合ふやうになつてゐる。
――沢木梢氏に――おれの家の二階の窓は、丁度向うの家の二階の窓と向ひ合ふやうになつてゐる。
問現代の作家に就いて、比較上の問題ですが、東洋種と西洋種とに区別したら如何なものでせうか。
問現代の作家に就いて、比較上の問題ですが、東洋種と西洋種とに区別したら如何なものでせうか。
師走の或夜、父は五歳になる男の子を抱き、一しよに炬燵(こたつ)へはひつてゐる。
師走の或夜、父は五歳になる男の子を抱き、一しよに炬燵(こたつ)へはひつてゐる。
夜寒の細い往来を爪先上りに上つて行くと、古ぼけた板屋根の門の前へ出る。
夜寒の細い往来を爪先上りに上つて行くと、古ぼけた板屋根の門の前へ出る。
或る一つの作品を書かうと思つて、それが色々の径路を辿(たど)つてから出来上がる場合と、直ぐ初め...
或る一つの作品を書かうと思つて、それが色々の径路を辿(たど)つてから出来上がる場合と、直ぐ初めの計画通りに書き上がる場合とがある。
始皇帝がどう思つたか、本を皆焼いてしまつたので、神田の古本屋が職を失つたと新聞に出てゐるから、...
始皇帝がどう思つたか、本を皆焼いてしまつたので、神田の古本屋が職を失つたと新聞に出てゐるから、ひどい事をしたもんだと思つて、その本の焼けあとを見に丸ノ内へ行かうとすると、銀座尾張町の四つ角で、交番の前に人が山のやうにたかつてゐる。
○僕はこれからも今月のと同じような材料を使って創作するつもりである。
○僕はこれからも今月のと同じような材料を使って創作するつもりである。
編輯者わたしの方の雑誌の来月号に何か書いて貰へないでせうか?作家駄目です。
編輯者わたしの方の雑誌の来月号に何か書いて貰へないでせうか?作家駄目です。
序文人及び詩人としての薄田泣菫氏を論じたものは予の著述を以て嚆矢とするであらう。
序文人及び詩人としての薄田泣菫氏を論じたものは予の著述を以て嚆矢とするであらう。
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