書き出し
[#ページの左右中央]Nil sapienti※ odiosius acumine nimio.(叡智にとりてあまりに鋭敏すぎるほど忌むべきはなし)セネカ(1)[#改ページ]パリで、一八――年の秋のある風の吹きすさぶ晩、暗くなって間もなく、私は友人C・オーギュスト・デュパンと一緒に、郭外サン・ジェルマンのデュノー街三十三番地四階にある彼の小さな裏向きの図書室、つまり書斎で、黙想と海泡石のパイプとの二重の...
底本
「モルグ街の殺人事件」新潮文庫、新潮社, 1951(昭和26)年8月15日、1977(昭和52)年5月10日40刷改版