書き出し
根岸お行の松因果塚の由来三遊亭圓朝鈴木行三校訂・編纂昔はお武家が大小を帯(さ)してお歩きなすったものですが、廃刀以来幾星霜を経たる今日に至って、お虫干の時か何かに、刀箪笥から長い刀(やつ)を取出(とりいだ)して、これを兵児帯(へこおび)へ帯して見るが、何(ど)うも腰の骨が痛くッて堪らぬ、昔は能(よ)くこれを帯して歩けたものだと、御自分で駭(おどろ)くと仰しゃった方がありましたが、成程是は左様でござりましょう。
底本
「圓朝全集 巻の四」近代文芸・資料複刻叢書、世界文庫, 1963(昭和38)年9月10日