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児童書版

演習一

竹内浩三
『演習一』は青空文庫で公開されている竹内浩三の短編作品。330文字で、おおよそ5分以内で読むことができます。
文字数
5分以内   330 文字
人気
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書き出し
ずぶぬれの機銃分隊であったぼくの戦帽は小さすぎてすぐおちそうになったぼくだけあごひもをしめておったきりりと勇ましいであろうと考えたいくつもいくつも膝まで水のある濠があったぼくはそれが気に入ってびちゃびちゃとびこんだまわり路までしてとびこみにいった泥水や雑草を手でかきむしった内臓がとびちるほどの息づかいであった白いりんどうの花が狂気のようにゆれておったぼくは草の上を氷河のように匍匐(ほふく)し...
初出
底本
「竹内浩三全作品集 日本が見えない 全1巻」藤原書店, 2001(平成13)年11月30日
表記
新字新仮名
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竹内浩三 の人気作品

骨のうたう(原型)
竹内浩三
戦死やあわれ兵隊の死ぬるやあわれとおい他国でひょんと死ぬるやだまってだれもいないところでひょんと死ぬるやふるさとの風やこいびとの眼やひょんと消ゆるや国のため大君のため死んでしまうやその心や苔いじらしやあわれや兵隊の死ぬるやこらえきれないさびしさやなかず咆えずひたすら銃を持つ白い箱にて故国をながめる音もなくなにもない骨帰ってはきました...
5分以内
ぼくもいくさに征くのだけれど
竹内浩三
街はいくさがたりであふれどこへいっても征くはなし勝ったはなし三ヶ月もたてばぼくも征くのだけれどだけどこうしてぼんやりしているぼくがいくさに征ったなら一体ぼくはなにするだろうてがらたてるかなだれもかれもおとこならみんな征くぼくも征くのだけれど征くのだけれどなんにもできず蝶をとったり子供とあそんだりうっかりしていて戦死するかしらそんなまぬけなぼくなのでどうか人なみにいくさが...
5分以内
日本が見えない
竹内浩三
この空気この音オレは日本に帰ってきた帰ってきたオレの日本に帰ってきたでもオレには日本が見えない空気がサクレツしていた軍靴がテントウしていたその時オレの目の前で大地がわれたまっ黒なオレの眼漿が空間にとびちったオレは光素(エーテル)を失ってテントウした日本よオレの国よオレにはお前がみえない一体オレは本当に日本に帰ってきているのかなんにも...
5分以内
大正文化概論
竹内浩三
序論G線の下でアリアをうたっていたてるてる坊主が雨にぬれていた本論交通が便利になって文化はランジュクした戦争に勝ってリキュウルをのんだはだかおどりの女のパンツは日章旗であったタケヒサ・ユメジがみみかくしの詩をかいた人は死ぬことを考えて女とあそんだ女とあそんで昇天した震災が起っていく人もやけ死んだやけ死ななかったものは...
5分以内