書き出し
橋の袂に美女の裸身しはんほになすはかはすなにほんはし「吝嗇漢に茄子は買は(わ)すな日本橋――か、ハッハッハッハ、こいつは面白い、逆さに読んでも同じだ、落首もこれ位になると点に入るよ」「穿(うが)ってるぜ、畜生め、まったく御改革の今日びじゃ、五十五貫の初鰹どころか、一口一分の初茄子せえ、江戸ッ子の口にゃ入えらねえ、何んのことはねえ、八百八町、吝嗇漢のお揃いとけつからア、オロシヤの珍毛唐が風の便りに聞いて笑って居るとよ、ヘッヘッヘッヘッ」場所もあろうに、...
初出
1935年
(「富士」1935(昭和10)年12月)
底本
「野村胡堂伝奇幻想小説集成」作品社, 2009(平成21)年6月30日