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甲賀三郎
短編(30分以内)
真珠塔の秘密
真珠塔の秘密
甲賀三郎
『真珠塔の秘密』は青空文庫で公開されている甲賀三郎の短編作品。8,284文字で、おおよそ30分以内で読むことができます。
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書き出し
長い陰気な梅雨が漸く明けた頃、そこにはもう酷しい暑さが待ち設けて居て、流石都大路も暫くは人通りの杜絶える真昼の静けさから、豆腐屋のラッパを合図に次第に都の騒がしさに帰る夕暮時、夕立の様な喧(やかま)しい蝉の声を浴びながら上野の森を越えて、私は久し振りに桜木町の住居に友人の橋本敏を訪ねた。
初出
1923年
(「新趣味」1923(大正12)年8月号)
底本
「「新趣味」傑作選 幻の探偵雑誌7」光文社文庫、光文社, 2001(平成13)年11月20日
表記
新字新仮名
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