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児童書版

市井喧争

太宰治
『市井喧争』は青空文庫で公開されている太宰治の短編作品。1,867文字で、おおよそ5分以内で読むことができます。
文字数
5分以内   1,867 文字
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書き出し
九月のはじめ、甲府からこの三鷹へ引越し、四日目の昼ごろ、百姓風俗の変な女が来て、この近所の百姓ですと嘘をついて、むりやり薔薇(ばら)を七本、押売りして、私は、贋物だということは、わかっていたが、私自身の卑屈な弱さから、断り切れず四円まきあげられ、あとでたいへん不愉快な思いをしたのであるが、それから、ひとつき経って十月のはじめ、私は、そのときの贋百姓の有様を小説に書いて、文章に手を入れていたら、ひょっこり庭へ、ごめん下さいまし、私は、このさきの温室から来ましたが、何か草花の球根でも、と言い...
初出
底本
「もの思う葦」新潮文庫、新潮社, 1980(昭和55)年9月25日
表記
新字新仮名
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