竹久夢二の全作品

路青い野原のなかを、白い路がながく／＼つヾいた。

「ねえ、かあさん」みっちゃんは、お三時のとき、二つ目の木の葉パンを半分頬（ほお）ばりながら、母様にいいました。

風が、山の方から吹いて来ました。

少年達のため挿絵をかきながら、物語の方も自分でかいて見ようと思立って、その頃まだ私の手許から小学校へ通っていた子供をめやすにかいたのが巻頭の数篇です。

あるちいさな女の児と、大きな人形とが、ある日お花さんのおうちをたずねました。

街子の父親は、貧しい町絵師でありました。

日が暮れて子供達が寝床へゆく時間になったのに、幹子は寝るのがいやだと言って、お母様を困らせました。

ある春の朝でした。

「あんな娘をどこが好いんだ、と訊かれると、さあ、ちよつと一口に言へないが」さう云つて、画家のＡは話し出した。

それはたいそう大きな蝙蝠傘でした。

三宅坂の水揚ポンプのわきに、一本の日輪草が咲いていました。

この物語はさほど遠い昔のことでは無い。

ある郊外、少女Ａと少女Ｂの対話Ａまあ、あなたの手は綺麗なお手ねえ。

お磯（いそ）は、可愛い博多人形を持っていました。

お庭の木の葉が、赤や菫（すみれ）にそまったかとおもっていたら、一枚散り二枚落ちていって、お庭の木はみんな、裸体になった子供のように、寒そうに手をひろげて、つったっていました。

「なんだってお寺の坊さんは、ぼくに與太郎なんて名前をつけてくれたんだろう」と、與太郎は考えました。

［＃ここから手書き文字］暮れゆく春のかなしさは歌ふをきけや爪弾の「おもひきれとは死ねとの謎か死ぬりや野山の土となる」［＃ここで手書き文字終わり］［＃改ページ］隅田川「春信」の女の髪をすべりたる黄楊の小櫛か月の影。

一体世の中に、何故？ときかれて、何となればと答の出来る様なことは、ごくつまらない事に違ひない。

それは、土曜日の晩でした。

それは火曜日の地理の時間でした。

時ある春の晴れた朝所花咲ける丘人物少年（十三歳位）少女（十一二歳）先生（小学教師）猟人（若き遊猟家）兎（十二三歳少女扮装）舞台は、桜の花など咲いた野外が好ましいが、室内で装置する場合には、緑色の布を額縁として画り、地は、春の土を思わせるような、黄土色の布か、緋毛氈を敷きつめる。

［＃改見開き］太郎「鶴がカアカアつて啼（な）いてるの、あれ泣いてるんですか、おぢさん」おぢさん「泣てるんぢやない、うれしくて歌つてるんです。

留吉は稲田の畦（あぜ）に腰かけて遠い山を見ていました。

二人の小さな中学生が、お茶の水橋の欄干にもたれて、じっと水を見ていました。

「い」とあなたがいうと「それから」と母様は仰言った。

こはわが少年の日のいとしき小唄なり。

十字架”神は彼を罰して一人の女性の手にわたし給へり”ああ、わが負へる白き十字架。