死刑の前

幸徳秋水

第一章死生第二章運命第三章道徳―罪悪第四章半生の回顧第五章獄中の回顧第一章死生わたくしは、死刑に処せらるべく、いま東京監獄の一室に拘禁されている。

幸徳秋水

翻訳で文名を売る位ひズルいことはない、他人の思想で、他人の文章で、左から横に書たものを、右から堅に器械的に引直すだけの労だらう、電話機や、写字生と大して相違する所はない、と語る人がある、少しも翻訳をしたことのない人、殊に外国文を読まぬ人にコンな考へを持つ者が多い。

幸徳秋水

近日何ぞ傷心の事多きや、緑雨は窮死し、枯川は絏紲の人となる、風日暖にして木々の梢緑なる此頃の景色にも、我は中心転た寂寞の情に堪へず、意強き人は女々しと笑はん、我は到底情を矯むるの力なし。

幸徳秋水

近時世界の耳目を聳動せる仏国ドレフューの大疑獄は軍政が社会人心を腐敗せしむる較著なる例証也。

夏目漱石

第一夜こんな夢を見た。

森鴎外

石炭をば早や積み果てつ。

石川啄木

函館なる郁雨宮崎大四郎君同国の友文学士花明金田一京助君この集を両君に捧ぐ。

紀貫之

男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり。