正ちゃんは、左ぎっちょで、はしを持つにも左手です。
正ちゃんは、左ぎっちょで、はしを持つにも左手です。
さびしいいなかながら、駅の付近は町らしくなっていました。
さびしいいなかながら、駅の付近は町らしくなっていました。
熊さんは、砂浜の上にすわって、ぼんやりと海の方をながめていました。
熊さんは、砂浜の上にすわって、ぼんやりと海の方をながめていました。
もう、ひやひやと、身にしむ秋の風が吹いていました。
もう、ひやひやと、身にしむ秋の風が吹いていました。
兄さんの打った球が、やぶの中へ飛び込むたびに辰夫くんは、草を分けてそれを拾わせられたのです。
兄さんの打った球が、やぶの中へ飛び込むたびに辰夫くんは、草を分けてそれを拾わせられたのです。
私達は、この社会生活にまつわる不義な事実、不正な事柄、その他、人間相互の関係によって醸成されつ...
私達は、この社会生活にまつわる不義な事実、不正な事柄、その他、人間相互の関係によって醸成されつゝある詐欺、利欲的闘争、殆んど枚挙にいとまない程の醜悪なる事実を見るにつけ、これに堪えない思いを抱くのであるが、それがために、果して人間そのものについて疑いを抱かないだろうか。
正二くんは時計がほしかったので、これまでいくたびもお父さんや、お母さんに、買ってくださいと頼ん...
正二くんは時計がほしかったので、これまでいくたびもお父さんや、お母さんに、買ってくださいと頼んだけれども、そのたびに、「中学へ上がるときに買ってあげます。
たま/\書斎から、歩を街頭に移すと、いまさら、都会の活動に驚かされるのであります。
たま/\書斎から、歩を街頭に移すと、いまさら、都会の活動に驚かされるのであります。
若いがんたちが、狭い池の中で、魚をあさっては争っているのを見て、年とったがんが歎息をしました。
若いがんたちが、狭い池の中で、魚をあさっては争っているのを見て、年とったがんが歎息をしました。
あるところに金持ちがありまして、毎日退屈なものですから、鶏でも飼って、新鮮な卵を産まして食べよ...
あるところに金持ちがありまして、毎日退屈なものですから、鶏でも飼って、新鮮な卵を産まして食べようと思いました。
たいへんに、金をもうけることの上手な男がおりました。
たいへんに、金をもうけることの上手な男がおりました。
秋風が吹きはじめると、高原の別荘にきていた都の人たちは、あわただしく逃げるように街へ帰ってゆき...
秋風が吹きはじめると、高原の別荘にきていた都の人たちは、あわただしく逃げるように街へ帰ってゆきました。
風船球は、空へ上がってゆきたかったけれど、糸がしっかりととらえているので、どうすることもできま...
風船球は、空へ上がってゆきたかったけれど、糸がしっかりととらえているので、どうすることもできませんでした。
すがすがしい天気で、青々と大空は晴れていましたが、その奥底に、光った冷たい目がじっと地上をのぞ...
すがすがしい天気で、青々と大空は晴れていましたが、その奥底に、光った冷たい目がじっと地上をのぞいているような日でした。
この度、日本国民童話協会が創立されまして衷心からお喜びの言葉を申し上げます。
この度、日本国民童話協会が創立されまして衷心からお喜びの言葉を申し上げます。
なんでも、一本の木が大きくなると、その根のところに、小さな芽が生えるものであります。
なんでも、一本の木が大きくなると、その根のところに、小さな芽が生えるものであります。
月の中で兎が餅を搗(つ)いているというお伽噺(とぎばなし)も、それが以前であったら、何等不自然...
月の中で兎が餅を搗(つ)いているというお伽噺(とぎばなし)も、それが以前であったら、何等不自然な感じを抱かせずに子供達の頭にはいったであろうが、いまの小学校へ行っている者に、月を指して、あの中に兎が棲んでいるといったら、たといそれがお話であろうと、かく空想することに却て骨が折れるかもしれない。
町から、村へつづいている往来の片側に、一軒の小さなペンキ屋がありました。
町から、村へつづいている往来の片側に、一軒の小さなペンキ屋がありました。
孝ちゃんの、近所に住んでいる自動車屋の主人は、変わった人でした。
孝ちゃんの、近所に住んでいる自動車屋の主人は、変わった人でした。
北の故郷を出るときに、二羽の小鳥は、どこへいっても、けっして、ふたりは、はなればなれにならず、...
北の故郷を出るときに、二羽の小鳥は、どこへいっても、けっして、ふたりは、はなればなれにならず、たがいに助け合おうと誓いました。
花の咲く前には、とかく、寒かったり、暖かかったりして天候の定まらぬものです。
花の咲く前には、とかく、寒かったり、暖かかったりして天候の定まらぬものです。
季節が、冬から春に移りゆく時分には、よくこんなような静かな、そして、底冷えのする晩があるもので...
季節が、冬から春に移りゆく時分には、よくこんなような静かな、そして、底冷えのする晩があるものですが、その夜は、まさしくそんな夜でありました。
春のころ、一度この谷間を訪れたことのあるしじゅうからは、やがて涼風のたとうとする今日、谷川の岸...
春のころ、一度この谷間を訪れたことのあるしじゅうからは、やがて涼風のたとうとする今日、谷川の岸にあった同じ石の上に降りて、なつかしそうに、あたりの景色をながめていたのであります。
崖からたれさがった木の枝に、日の光が照らして、若葉の面が流れるように、てらてらとしていました。
崖からたれさがった木の枝に、日の光が照らして、若葉の面が流れるように、てらてらとしていました。
高い山の、鳥しかゆかないような嶮(けわ)しいがけに、一本のしんぱくがはえていました。
高い山の、鳥しかゆかないような嶮(けわ)しいがけに、一本のしんぱくがはえていました。
冬でありましたけれど、その日は、風もなく穏やかで、日の光が暖かに、門口に当たっていましたので、...
冬でありましたけれど、その日は、風もなく穏やかで、日の光が暖かに、門口に当たっていましたので、おみよは学校から帰りますと、ござを敷いて、その上で、人形や、おもちゃなどを出してきて遊んでいました。
ミレーの絵を見た人は、心ある者であったならば、誰しも涙ぐましさを感ずるであろう。
ミレーの絵を見た人は、心ある者であったならば、誰しも涙ぐましさを感ずるであろう。
ある日のこと、女中はアルミニウムの湯沸かしを、お嬢さんたちが集まって、話をしていなされたお座敷...
ある日のこと、女中はアルミニウムの湯沸かしを、お嬢さんたちが集まって、話をしていなされたお座敷へ持ってゆくと、「まあ、なんだね、お竹や、こんな汚らしい湯沸かしなどを持ってきてさ。
良ちゃんは、お姉さんの持っている、銀のシャープ=ペンシルがほしくてならなかったのです。
良ちゃんは、お姉さんの持っている、銀のシャープ=ペンシルがほしくてならなかったのです。
池の中に水草がありましたが、長い冬の間水が凍っていましたために、草はほとんど枯れてしまいそうに...
池の中に水草がありましたが、長い冬の間水が凍っていましたために、草はほとんど枯れてしまいそうに弱っていました。
この村でのわんぱく者といえば、だれ知らぬものがなかったほど、龍雄はわんぱく者でした。
この村でのわんぱく者といえば、だれ知らぬものがなかったほど、龍雄はわんぱく者でした。
もくら、もくらと、白い雲が、大空に頭をならべる季節となりました。
もくら、もくらと、白い雲が、大空に頭をならべる季節となりました。
寒い、北の方の小さな町に、独り者の男が住んでいました。
寒い、北の方の小さな町に、独り者の男が住んでいました。
達ちゃんの組に、田舎から転校してきた、秀ちゃんという少年がありました。
達ちゃんの組に、田舎から転校してきた、秀ちゃんという少年がありました。
くりの木のこずえに残った一ひらの葉が、北の海を見ながら、さびしい歌をうたっていました。
くりの木のこずえに残った一ひらの葉が、北の海を見ながら、さびしい歌をうたっていました。
たくさんな金魚の子が、おけの中で、あふ、あふとして泳いでいました。
たくさんな金魚の子が、おけの中で、あふ、あふとして泳いでいました。
小さな姉弟は、父の目が、だんだん見えなくなるのを心配しました。
小さな姉弟は、父の目が、だんだん見えなくなるのを心配しました。
私は、蔵書というものを持ちませんが、新聞や、雑誌の広告に注意して、最新の出版でこれは読んで見た...
私は、蔵書というものを持ちませんが、新聞や、雑誌の広告に注意して、最新の出版でこれは読んで見たいなと思うものがあると求めるのがありますが、旧いものは、これは何々文庫というような廉価本で用を達しています。
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