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泉鏡花の全作品(4ページ目)

青空文庫で公開されている泉鏡花の全作品199篇を、おすすめ人気順で表示しています。

151〜199件 / 全199件
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二日の眞夜中――せめて、たゞ夜の明くるばかりをと、一時千秋の思で待つ――三日の午前三時、半ばならんとする時であつた。
「そんな事があるものですか。
初冬の夜更である。
むらむらと四辺を包んだ。
曠野「はゝあ、此(こ)の堂がある所爲で==陰陽界==などと石碑にほりつけたんだな。
新婦が、床杯をなさんとて、座敷より休息の室に開きける時、介添の婦人はふとその顔を見て驚きぬ。
不思議なる光景である。
「杢(もく)さん、これ、何?……」と小児が訊(き)くと、真赤な鼻の頭を撫(な)でて、「綺麗な衣服だよう。
「やあ、しばらく。
瑠璃色に澄んだ中空の樹の間から、竜が円い口を張開いたような、釣鐘の影の裡(なか)で、密と、美麗な婦の――人妻の――写真を視た時に、樹島は血が冷えるように悚然とした。
朝――この湖の名ぶつと聞く、蜆(しじみ)の汁で。
引越しをするごとに、「雀(すずめ)はどうしたろう。
この無題の小説は、泉先生逝去後、机邊の篋底に、夫人の見出されしものにして、いつ頃書かれしものか、これにて完結のものか、はたまた未完結のものか、今はあきらかにする術なきものなり。
如月のはじめから三月の末へかけて、まだしっとりと春雨にならぬ間を、毎日のように風が続いた。
柳を植えた……その柳の一処繁った中に、清水の湧く井戸がある。
寒くなると、山の手大通りの露店に古着屋の数が殖える。
雪の夜路の、人影もない真白な中を、矢来の奥の男世帯へ出先から帰った目に、狭い二階の六畳敷、机の傍なる置炬燵に、肩まで入って待っていたのが、するりと起直った、逢いに来た婦の一重々々、燃立つような長襦袢ばかりだった姿は、思い懸けずもまた類なく美しいものであった。
「――鱧(はも)あみだ仏、はも仏と唱うれば、鮒(ふな)らく世界に生れ、鯒(こち)へ鯒へと請ぜられ……仏と雑魚して居べし。
昔男と聞く時は、今も床しき道中姿。
襖(ふすま)を開けて、旅館の女中が、「旦那、」と上調子の尻上りに云(い)って、坐(すわ)りもやらず莞爾(にっこり)と笑いかける。
真中に一棟、小さき屋根の、恰(あたか)も朝凪の海に難破船の俤(おもかげ)のやう、且つ破れ且つ傾いて見ゆるのは、此(こ)の広野を、久しい以前汽車が横切つた、其(そ)の時分の停車場の名残である。
日光掩蔽地上清涼靉靆垂布如可承攬其雨普等四方倶下流樹無量率土充洽山川険谷幽邃所生卉木薬艸大小諸樹「もし憚(はばかり)ながらお布施申しましょう。
婦人は、座の傍に人気のまるでない時、ひとりでは按摩を取らないが可いと、昔気質の誰でもそう云う。
ただ仰向けに倒れなかったばかりだったそうである、松村信也氏――こう真面目に名のったのでは、この話の模様だと、御当人少々極りが悪いかも知れない。
「しゃッ、しゃッ、しゃあっ!……」寄席のいらっしゃいのように聞こえるが、これは、いざいざ、いでや、というほどの勢いの掛声と思えば可い。
二十四この雨は間もなく霽(は)れて、庭も山も青き天鵞絨に蝶花の刺繍ある霞(かすみ)を落した。
このもの語の起った土地は、清きと、美しきと、二筋の大川、市の両端を流れ、真中央に城の天守なお高く聳(そび)え、森黒く、濠(ほり)蒼(あお)く、国境の山岳は重畳として、湖を包み、海に沿い、橋と、坂と、辻の柳、甍(いらか)の浪の町を抱いた、北陸の都である。
「旦那さん、旦那さん。
片側は空も曇って、今にも一村雨来そうに見える、日中も薄暗い森続きに、畝り畝り遥々(はるばる)と黒い柵を繞(めぐ)らした火薬庫の裏通、寂しい処をとぼとぼと一人通る。
「やあ、やまかがしや蝮(まむし)が居るぞう、あっけえやつだ、気をつけさっせえ。
東京もはやここは多摩の里、郡の部に属する内藤新宿の町端に、近頃新開で土の色赤く、日当のいい冠木門から、目のふちほんのりと酔を帯びて、杖を小脇に、つかつかと出た一名の瀟洒(しょうしゃ)たる人物がある。
あれあれ見たか、あれ見たか。
木曾街道、奈良井の駅は、中央線起点、飯田町より一五八哩(マイル)二、海抜三二〇〇尺、と言い出すより、膝栗毛を思う方が手っ取り早く行旅の情を催させる。
貸したる二階は二間にして六畳と四畳半、別に五畳余りの物置ありて、月一円の極なり。
白鷺明神の祠(ほこら)へ――一緑の森をその峰に仰いで、小県銑吉がいざ詣でようとすると、案内に立ちそうな村の爺さんが少なからず難色を顕わした。
誠に差出がましく恐入りますが、しばらく御清聴を煩わしまする。
「ちらちらちらちら雪の降る中へ、松明がぱっと燃えながら二本――誰も言うことでございますが、他にいたし方もありませんや。
「あんた、居やはりますか。
「お爺(じい)さん、お爺さん。
剃刀研十九日紅梅屋敷作平物語夕空点灯頃雪の門二人使者左の衣兜化粧の名残[#改ページ]剃刀研「おう寒いや、寒いや、こりゃべらぼうだ。
「ここだ、この音なんだよ。
表二階の次の六畳、階子段の上り口、余り高くない天井で、電燈を捻ってフッと消すと……居合わす十二三人が、皆影法師。
つれの夫人がちょっと道寄りをしたので、銑太郎は、取附きに山門の峨々(がが)と聳(そび)えた。
はじめ、私はこの一篇を、山媛、また山姫、いずれかにしようと思った。
「今のは、」初阪ものの赤毛布、という処を、十月の半ば過ぎ、小春凪で、ちと逆上せるほどな暖かさに、下着さえ襲ねて重し、野暮な縞(しま)も隠されず、頬被りがわりの鳥打帽で、朝から見物に出掛けた……この初阪とは、伝え聞く、富士、浅間、大山、筑波、はじめて、出立つを初山と称うるに傚(なら)って、大阪の地へ初見参という意味である。
時雨に真青なのは蒼鬣魚の鰭(ひれ)である。
倶利伽羅峠には、新道と故道とある。
越中の国立山なる、石滝の奥深く、黒百合となんいうものありと、語るもおどろおどろしや。
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