宮本百合子の全作品（3ページ目）

松山文雄さんがこの頃益々一心に画業をはげんで居られることは友人たちの間で知らぬものはないと思います。

最近よんだものの中で（一）「強制収容所の十三ケ月」ヴォルフガング・ラングホフ著・舟木重信、池宮秀意共訳（創芸社）（二）「巣の中の蜘蛛」千田九一訳（宝雲社）などからつよく印象づけられました。

一、文学者ではスタンダールというひとをこの頃おもしろく思って居ります。

私のところは、割におうようなので、些細なことで何や彼と廻してくるようなことはありません。

一、趣味は音楽、映画などですが、一昨年来病気のため外出も出来ずに居ます。

青銅の扉に秘密を閉してもだせる夜の厳さよ！万物はかたずのみて闇に立ち迷う奇蹟をながめ故知らぬ暗示に胸をとどろかす偉なるかな！奇なるかな！生あるものは総てかく低唱しつつ厚き帳のかなた身じろぐ夜の精を見んと行手すかしつつさぐり見るなり無限の闇の広き宙には乾坤の敗者の歎きと勝者の鬨の声と石棺の底より過去を叫ぶ亡霊のうごめき奇しき形に其の音波を伝えつつ闇に生れ闇に...

ねばねばした水気の多い風と、横ざまに降る居ぎたない雨がちゃんぽんに、荒れ廻って居る。

法制会が、婦人参政権の問題を否決したのは、さまで意外なことではありません。

光ちゃんのお父さん小野宮吉さんは、お亡りになったから、この写真にうつることは出来ません。

去年の今頃はもう鎌倉に行っていた。

是非を超えた最後の手段として離婚は認めなければなりません。

愛読という言葉の普通の使いかたとは違うけれども、非常に感銘をもってよみ、人類の歴史の精髄を学んだ二つの本をあげます。

１、文筆の仕事の上で、可能なかぎり、戦争反対と平和の確保、原子兵器禁止の態度を明かにして居ります。

むかしの人たち、と云っても日本へ写真術が渡来して間もないころの人たちは、写真は、仕掛けでひとがたがとられるのだから、それだけ寿命がちぢまることだと、こわがった。

この往復書簡集三巻におさめられている宮本顕治・宮本百合子の手紙は、一九三四年十二月から一九四五年八月十五日、日本の無条件降伏後、治安維持法が撤廃されて、十月十日網走刑務所から顕治が解放されるまでにとりかわされた書簡、百合子凡そ千余通、顕治四百通ほどの手紙の中からえらび出されたものである。

三四日梅雨のように降りつづいた雨がひどい地震のあと晴れあがった。

若いこころと体とがもっている様々の新鮮な波。

芥川龍之介が自分の才能とか学識を越えて社会と文学そのものの大きい変化と発展を見通して、そこから来る漠然とした不安を感じて死んだのと、太宰氏の生涯の終り方とは、まったく別種のものです。

生活の外側は、元の通り至って平穏無事である。

今日の私たちの生活にとって、明日というものは、世界の歴史のなかで考え得る最も複雑な内容で予想されるものとなって来ている。

どういう意味からにしても、今の場合それをいうのは少し困ります。

歴史の可能は、いつの時代にも青春のうちに見出されて来た。

私の生活も随分夥しい或は根本的な変化をうけていますが、それはおそらく、この四年の間に成金になりもしなかった大多数の国民が、その日々で経て来ている、その変りかただと思います。

一般文化の問題として多くの人が注目している。

日本は誰のものか。

門柱の左には麻田駒之助と標札が出ていて、門内右手の粗末な木造洋館がその時分（大正五年）中央公論社の編輯局になっていた。

どんな育児の本も、必ずとり落しなく触れている一つのことがあります。

新しい日本が始ろうとしています。

バスの婦人車掌は、後から後からと降りる客に向って、いちいち「ありがとうございます」「ありがとうございます」と云っています。

ジムバリスト氏の来朝や、アンナ・パヴロワ、近くパーロー女史等の来られた為め、私共芸術を愛する者は、各自の程度なりに、どの位得る処があったかわかりません。

「女人芸術」という名をかえることには大いに賛成です。

この短篇集は私にとってもすこし風変りな集となった。

この集にまとめられている感想評論は、大体一九三四年の秋から一九三五年の春ごろまでに書かれたもの、及び一年ばかりとんで、一九三六年の初夏から今日に至るまでの間に書かれたものである。

学徒動員ということがはじまって学生が戦線にかり立てられはじめたころ、日本のファシズム権力は、そういう立場に立たされた若い人々自身およびその周囲の理性人の思索なり感情なり批判なりを公表されることを極度にきらった。

明治三十二年二月十三日東京市２東京市豊島区目白三ノ三五七〇３お茶の水４文学の仕事は好きではじめました。

常識を働かせ、実際的な立場から考えると、性、育児教育等に関するよい書物も必要でしょう。

┌細君、小枝│七歳の伸┌富井行雄┤四つの健吉││百姓与田初五郎│└酒井「五兵衛さん」│石田重吉┐直次つや子└ひろ子└進三〔欄外に〕坂上夫妻友人の家┌──┐九月│五日│八日└──┘PolicemanMilitary Police下駄の音電燈カバーの細工汽車の中┌母登代...

この事は、私によくわかりません。

月そそぐいずの夜揺れ揺れて流れ行く光りの中に音もなく一人もだし立てば萌え出でし思いのかいわれ葉瑞木となりて空に冲る。

どうか私共女性たちは、もっと自分自分の心というものに対して、敏感に、よい意味の神経質になりたいと思います。

「お前は好い子だネエ」とあたまをなでられたあとでポカリとげんこつをもらう。

邪教の話はいままで沢山あったけれど、この璽光教の話は非常に面白いと思いました。

少し、読みためたのを、人に見てもらう。

（被告）女慧しゅうして牛売りそこね（判決）こういった諺はみんな男が作ったものなんです、そしてまた女をこんな風にした社会を作ったのも男達なんです、ですけど「女の賢さはほんとうのものじゃない、小ざかしくて失敗や損ばかりする」といった男たちはほんとうに賢かったでしょうか、小慧しい男たちが政治や軍事を自由にし女も含めた国民の大部分がその小慧しさにたぶらかされていたためにとうとう牛どころか戦争に敗ける所まで国を滅茶苦茶にしてしまったんです。

五月十九日の朝。

夕暮仕事につかれ「赤と黒」とを手にもって縁側に腰かけているきょうも空しいままに暮れたわがよろこびの小径を眺めながら。

世界の歴史は大きく動いていて、日本の生活と文化文学も、この数年の間に示して来たうつりかわりを、これからは一層つよく広汎に現してゆくことだろうと考える。

チェホフやウェルサーエフや、現代ではカロッサ、これらの作家たちが医師であって同時に作家であったことは、彼等にとって比類のない仕合わせ、人類にとっては一つの慰安となっている。

最近豪華版とか、限定版とか称する書籍を見る。

「広場」は、一九四〇年にかかれた。