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牧野信一の全作品(4ページ目)

青空文庫で公開されている牧野信一の全作品337篇を、おすすめ人気順で表示しています。

151〜200件 / 全337件
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「兄さんはそれで病気なの?何だか可笑しいわ。
私が中学の三年の時でした。
昔、独逸のある貴族の家に大へんに可愛らしい、さうして美しい少年がありました。
道夫は友達の好き嫌ひといふことをしなかつたから、誰とでも快活に遊び交はることが出来た。
――嘘をつくな、試みに君の手鏡を執りあげて見給へ、君の容色は日増に蒼ざめてゆくではないか、吾等は宇宙の真理のために、そしてまた君が若し芸術に志すならば、芸術のために蒼ざめるべきではないか――。
久しい間辺卑な田舎で暮した上句なので、斯うして東京に来て見ると僕は、何を見ても、何処を訪れても、面白く、刺戟が爽かで、愉快で/\、毎日々々天気さへ好ければピヨン/\と出歩いて寧日なき楽天家だ、金貨だつて?そいつはまあ無い日の方が多いけれど、無ければ無いで公園を散歩する、スポーツを見物する、友達のところからオートバイを借りて来て矢鱈に街中を駆け廻つて、気分を晴し、同時に見聞を広める……。
あしたはきつと五時に起きよう――と、また美智子さんは、堅く決心しました。
「今夜こそ書きませう。
わたしのうちには頭のやまひの血統があるといふことだが、なるほど云はれて見るとわたしの知る限りでも、父親の弟を知つてゐる。
ある土曜日の放課後、清一はカバンを確かりとおさへて、家ンなかへ慌しく駆け込むやいなや、其の儘帽子も脱がず、「お母さん!」と叫んだ。
八月×日――蜂雀の真実なる概念を単に言葉の絵具をもつて描かんと努むるも、それは恰も南アメリカの生ける日光を瓶詰となして、大西洋を越え、イギリスの空に輝く雨と降り灑がうとするが如き不可能事に他ならぬ――。
四郎は、つい此の間から、何時といふことなしに口笛が吹けるようになつた。
(十月十六日)*きのふ、おとゝひ、さきおとゝひ――と、あゝ、何といふ浅ましさであらう、嫌はれ、軽蔑され、憎がられて、ウマクもない酒をのんでの気違騒ぎ、あゝ、もう厭だ、断然、酒は御免だ。
美智子は、朝から齲歯が痛んで、とう/\朝御飯も喰べませんでした。
芝居を見るのは、何年振りのことだ。
周一は、今年のお年玉に叔父さんから空気銃を貰つた。
R村のピエル・フオンの城主を夏の間に訪問する約束だつたが、貧しい生活にのみ囚はれてゐる私は、決してそれだけの余暇を見出す事が出来ずにゐる間に、世は晩秋の薄ら寂しい候であつた。
*父が若い時にあつめた“Cook book”の文庫のうちに“American's popular Cook book”といふ、表紙にブルクリン橋の写真のついた、大きい本で重くて気の毒だが、画布のやうな布で作られてゐる本があるから、此処に寄る時にそれを持つて来て呉れないかといふことを私は、弟に言伝てた。
「もう私は一切酒は飲まない。
窓帷をあけて、みつ子は窓から庭を見降した。
上都合に出て来ると都合の空気を腹一杯に満喫したいのが念願である。
駆け出した、とても歩いたりしてはをられなかつたから――砂が猛々しく焦けてゐて誰にも到底素足では踏み堪へられなかつた。
(一)同人雑誌「十三人」大正八年の秋頃、今実業之日本社に居る、たしか浅原六朗君から、今度、今年学校を出た連中のうちで、同人雑誌を発行することに決つたから、君も加はらないか、と誘はれた。
驢馬旅行友達のAが私の部屋に現はれて云つた。
上私は「喜劇考」と題して喜劇の発生に関する物語を、宇宙万物の流転の涯しもない煙りが人々の胸に炎えて怖ろしく佗しい道をたどつて行く原始人の底知れぬ落莫感に起因したといふ話を聞いて、自分達の住んだ村の風景を描写することで叙述したことがあるが、喜劇も悲劇も発生の混沌時代にあつては、断じて笑ひとか涙とかで分類出来ぬ――単に人間の、壮麗な宇宙と卑小な生命に戦く恐怖と憧憬の歌に源くのみであつた。
眼鏡或日、趣味に関して人に問はれた。
わたしは昨今横須賀に住んでゐるので、映画などを見たいときは湘南電車で、横浜へ出かけるのであつた。
いつの間にかわたしの部屋の壁には、いろいろな軍艦の写真が額になつて、あちこちに並び、本棚の上には「比叡」と「那智」の模型が飾られ、水雷型の筆立には巡洋艦「鈴谷」進水式紀念の軍艦旗とZ旗があつた。
私が、G・L・マイアム氏から私の作品に寄せる最も好意ある手紙を貰つたのは昨年の冬の頃だつた。
この間うち、東京へ行つてゐた時、不図途上で、坪田譲治氏に出遇つた。
(A)「風よ風よ、吾を汝が立琴となせ、彼の森の如く――か、ハツハツハ……琴にならぬうちに、おさらばだよ、森よ森よ、さよなら――と!」「真面目かと思へば冗談で、冗談かと思へば生真面目で、転がせ/\、この樽を――だ、ハツハツハツ……」「泣いて呉れるなヨ、出船の邪魔だヨ……」「今日は黒パン、明日は白パン、兵士の歌だよ、白い娘と黒いパン、黒い娘と白いパン、どんどん行け行け鉄砲かついで――」私はテントの袋を肩につけて、何かしら不安な思ひにでも打たれてゐる...
結廬古城下時登古城上古城非疇昔今人自来往坂を登り、また坂を登り――そして、石垣の台上に居並ぶ家々のうちで、一番隅つこの、一番小さい家に居を移した。
城ヶ島といふと、たゞちに北原白秋さんを連想する――といふより白秋さんから、わたしは城ヶ島を知り、恰度酒を飲みはじめた十何年か前のころ、わたしたちは酔ひさへすれば、城ヶ島の雨を合唱したものである。
「苦労」は後から後から、いくらでもおし寄せてくる。
佗しい村住ひの僕等が、ある日、隣り町の食糧品店に急用が出来て、半日がかりで様々な切端詰つた用事を済せた後に、漸く村を指して引きあげることになつた夕暮時の途すがらであつた。
いつまでつゞくか、仮寝の宿――わたしは、そのとき横須賀に置いた家族から離れて湘南電車で二駅離れた海ふちの宿にゐた。
ある時は――苔のない心うれしい心くもつた心――悲しい心。
ちかごろ或る日、十何年も他所にあづけ放してあるトランクをあけて見ると昔のエハガキブックや本や手帳にまぢって、二十歳前後の写真を二束見つけた。
その田舎の、K家といふ閑静な屋敷を訪れて、私は四五年振りでそこの古風な庭を眺めることを沁々と期待してゐたが、折悪しく激しい旋風がこゝを先途と吹きまくつて止め度もなく、遥かの野面から砲煙のやうに襲来する竜巻の津波で目もあけられぬ有様だつた。
花園の春「黄金の羽虫、どこから来たの。
学生であつた私は春の休暇で故郷の町に帰つてゐたが、うちでは勉強が出来ないと称して二三駅離れた海辺の村へ逃れてたつた独りで暮してゐた。
もうわたしは、余程久しい以前から定つた自分の部屋といふものを忘れて、まるで吟遊詩人のやうな日をおくつてゐることだ。
友人である医学士のF君が、オースチンを購入したので、案内車を先に立てながら富士の五湖をまはつて来ようと、或る晩わたしの部屋を訪れた。
小樽は、読みかけてゐるギリシヤ悲劇の中途で幾つかの語学に就いての知識を借りなければならないことになつて、急に支度を整へて出かけた。
百足凧と称する奇怪なかたちの凧は、殆ど人に知られてゐないらしい。
怒田村のこと鬼涙、寄生木、夜見、五郎丸、鬼柳、深堀、怒田、竜巻、惣領、赤松、金棒、鍋川――足柄の奥地に、昔ながらのさゝやかな巣を営んでゐるそれらの村々を私は渡り歩いて、昆虫採集に没頭してゐた。
僕はね、親父たちが何といつたつて、キエ、お前と、結婚するよ……。
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