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岡本かの子の全作品

青空文庫で公開されている岡本かの子の全作品116篇を、おすすめ人気順で表示しています。

1〜50件 / 全116件
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東京の下町と山の手の境い目といったような、ひどく坂や崖の多い街がある。
今日も復一はようやく変色し始めた仔魚を一匹二匹と皿に掬(すく)い上げ、熱心に拡大鏡で眺めていたが、今年もまた失敗か――今年もまた望み通りの金魚はついに出来そうもない。
中の間で道子は弟の準二の正月着物を縫い終って、今度は兄の陸郎の分を縫いかけていた。
ひとくちに慈悲ぶかい人といえば、誰にでもものを遣る人、誰のいうことをも直ぐ聞き入れてやる人、何事も他人の為に辞せない人、こう極めて仕舞うのが普通でしょう。
その人にまた逢うまでは、とても重苦しくて気骨の折れる人、もう滅多には逢うまいと思います。
平出園子というのが老妓の本名だが、これは歌舞伎俳優の戸籍名のように当人の感じになずまないところがある。
桜ばないのち一ぱいに咲くからに生命をかけてわが眺めたりさくら花咲きに咲きたり諸立ちの棕梠(しゆろ)春光にかがやくかたへこの山の樹樹のことごと芽ぐみたり桜のつぼみ稍(やや)ややにゆるむひつそりと欅(けやき)大門とざしありひつそりと桜咲きてあるかも丘の上の桜さく家の日あたりに啼(な)きむつみ居る親豚子豚ひともとの桜の幹につながれし若駒の瞳のうるめる愛し淋しげに今年の春も咲くものか一樹は枯れしその傍の桜春さればさ...
この書を世に贈るについての言葉二十年近くも、私が心に感じ身に行って来た経験をふりかえり、また、批判してみたことを偽りなく書き集めたのが、この書物となりました。
萩、刈萱、葛、撫子、女郎花、藤袴、朝顔。
私の住む家の門には不思議に蔦(つた)がある。
前言この作は旧作である。
山の手の高台で電車の交叉点になっている十字路がある。
伯林カイザー街の古い大アパートに棲んで居た冬のことです。
売春婦のリゼットは新手を考えた。
紀元前三世紀のころ、支那では史家が戦国時代と名づけて居る時代のある年の秋、魏の都の郊外櫟社の附近に一人の壮年=荘子が、木の葉を敷いて休んでいた。
ものものしい桜が散った。
八月の炎天の下、屋根普請に三四人の工人達が屋根を這ったり上ったり降りたりしていた。
遁(のが)れて都を出ました。
巴里の北の停車場でおまえと訣(わか)れてから、もう六年目になる。
女なればか力など望まで弱く美しく生れしまゝの男にてあれ甲斐なしや強げにものを言ふ眼より涙落つるも女なればか血の色の爪に浮くまで押へたる我が三味線の意地強き音前髪も帯の結びも低くしてゆふべの街をしのび来にけり天地を鳴らせど風のおほいなる空洞なる声淋しからずや朝寒の机のまへに開きたる新聞紙の香高き朝かな我が髪の元結ひもやゝゆるむらむ温き湯に身をひたす時かろきねたみ捨てむなど邪おもふ時に君...
女は、窓に向いて立っていた。
A!女学校では、当時有名な話でありました。
「それはヘロドトスの古希臘伝説中の朴野な噴水からアグリッパの拵(こしら)えた羅馬市中百五つの豪壮な噴水、中世の僧院の捏怪な噴水、清寂な文芸復興期の噴水、バロッコ時代の技巧的な噴水――どれもみな目に見えぬものを水によって見ようとする人間の非望を現わしたものではないでしょうか」「これも理想を追求する人間意慾の現れと見るときには、あまりに雛型過ぎて笑止なおもちゃじみた事柄ですが」「だが英国くらい昔から噴水に縁の無い国はありませんわ」と若い夫人は老いたる良人のロジャー氏と私を交る交...
年末のボーナスを受取って加奈江が社から帰ろうとしたときであった。
今の世の中に、こういうことに異様な心響を覚え、飽かずその意識の何物たるかに探り入り、呆然自失のような生涯を送りつつあるのは、私一人であろうか。
非有想非無想処――大智度論時は寛保二年頃。
ひとの世の男女の行ひを捨てて五年夫ならぬ夫と共棲(す)み今年また庭のさざんくわ夫ならぬ夫とならびて眺め居る庭のさざんくわ夫ならぬ夫にしあれどひとたびは夫にてありしつまなりしその昔よりつまならぬ今の語らひ浄くしてあはれはふかし今年また庭のさざんくわならび居て二人はながむる。
春の雷が鳴つてから俄に暖気を増し、さくら一盛り迎へ送りして、今や風光る清明の季に入らうとしてゐる。
早春を脱け切らない寒さが、思ひの外にまだ肩や肘を掠める。
現代の女性の感覚は色調とか形式美とか音とかに就いて著るしく発達して来た。
人生の甘酸を味はひ分けて来るほど、季節の有難味が判つて来る。
それほど茶好きでなくとも、新茶には心ひかれる。
センチメンタルな気風はセンチと呼んで唾棄軽蔑されるようになったが、世上一般にロマンチックな気持ちには随分憧れを持ち、この傾向は追々強くなりそうである。
西洋人は一体に女性尊重と見做されているが、一概にそうも言い切れない。
午前十一時半から十二時ちょっと過ぎまでの出来事です。
或る大きな都会の娯楽街に屹立している映画殿堂では、夜の部がもうとっくに始まって、満員の観客の前に華やかなラヴ・シーンが映し出されていました。
尊敬したい気持結婚前は、男子に対する観察などいつても、甚だ漠然としたもので、寧ろこの時代には、男とも、女とも意識しなかつた位です。
女性と庭岡本かの子出入りの植木屋さんが廻つて来て、手が明いてますから仕事をさして欲しいと言ふ。
二列に並んで百貨店ギャラレ・ラファイエットのある町の一席を群集は取巻いた。
○十月初めの小雨の日茸狩りに行つた。
おめしちりめんといふ名で覚えてゐる――それでつくられてゐた明治三十年代、私の幼年時代のねんねこ。
この人のうえをおもうときにおもわず力が入る。
維新前江戸、諸大名の御用商人であつた私の實家は、維新後東京近郊の地主と變つたのちまでも、まへの遺風を墨守して居る部分があつた。
○「或る田舎に二人の農夫があった。
ヤマキチハヤマオクノキコリノコデアリマシタ。
――お金が汗をかいたわ」河内屋の娘の浦子はそういって松崎の前に掌を開いて見せた。
うめき出す、といふのがダミアの唄ひ方の本当の感じであらう。
朝子が原稿を書く為に暮れから新春へかけて、友達から貸りた別荘は、東京の北端れに在った。
わたしは今、お化粧をせつせとして居ます。
女が、男より行儀をよくしなければならないということ。
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