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野村胡堂の全作品(3ページ目)

青空文庫で公開されている野村胡堂の全作品405篇を、おすすめ人気順で表示しています。

101〜150件 / 全405件
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「あ、あ、あ、あ、あ」ガラツ八の八五郎は咽喉佛のみえるやうな大欠伸をしました。
プロローグ「世の中のあらゆる出来事が、みんな新聞記事になって、そのまま読者に報道されるものと思うのは大間違いです。
「親分、こいつは驚くぜ、――これで驚かなかった日にゃ、親分とは言わせねえ」息せき切って駆けつけたガラッ八の八五郎、上がり框(かまち)に両手を突いて、「物申し上ぐる型」に長い顔を振り仰ぐのでした。
「親分、幽霊を見たことがありますかい」「そんなものに近付きはねえよ。
「日本一の面白い話があるんですが、親分」ガラツ八の八五郎、こみ上げる笑ひを噛みしめながら、ニヤリニヤリと入つて來るのです。
「八、その十手を見せびらかすのを止してくれないか」「へエ、斯うやりや宜いんでせう。
石原の利助が大怪我をしたという噂(うわさ)を聞いた銭形の平次、何を差措いても、その日のうちに見舞に行きました。
昼頃から降り続いた雪が、宵には小やみになりましたが、それでも三寸あまり積って、今戸の往来もハタと絶えてしまいました。
「お母様、泣いていらっしゃるの?」よし子は下からのぞくように、母親の顔を見上げました。
金座、銀座、銭座、朱座と並んで、江戸幕府の大事な機構の一つに、秤座というのがありました。
「平次、頼みがあるが、訊いてくれるか」南町奉行配下の吟味与力筆頭笹野新三郎は、自分の役宅に呼び付けた、銭形の平次にこう言うのでした。
第一の手紙山浦丈太郎は、不思議な手紙を受取りました。
錢形の平次は、椽側の日向に座布團を持出して、その上に大胡坐をかくと、女房のお靜は後ろに廻つて、片襷をしたまゝ、月代を剃(そ)つて居りました。
「八、お前近頃惡い料簡を起しやしないか。
兩國の川開きが濟んで間もなく、それは脂汗のにじむやうな、いやに、蒸し暑い晩でした。
「困つたことがあるんだがな、八」よく/\の事でせう、錢形平次は額に煙草を吸はせて、初秋のケチな庭を眺めるでもなく、ひどく屈托して居るのです。
プロローグ小説家大磯虎之助は、奇談クラブのその夜の話し手として、静かに壇上に起ちました。
「親分、世の中には變な野郎があるもんですね」八五郎は彌造を二つ拵へたまゝ、フラリと庭へ入つて來ました。
「珍らしい事があるものだネ、東京の佐良井から手紙が来たよ」「幽香子さんからですか」「イヤ、あの厭(いや)な亭主野郎からだ」「まあ」愛子は、その可愛らしい眼を一杯にあけて、非難するような、だけど、少し道化たような表情を私に見せるのでした。
「親分の前だが、江戸といふところは、面白いところですね」松もまだ取れないのに、ガラツ八の八五郎はもう、江戸の新聞種を仕入れて來た樣子です。
「親分、怖い話があるんだが――」ガラツ八の八五郎が、息を切らして飛込みました。
「あツ危ねえ」錢形の平次は辛くも間に合ひました。
「親分、先刻から路地の中を、往つたり來たり、お百度を踏んでゐる女がありますが、ありや何でせう」八五郎は自分の肩越しに、煙管の吸口で格子の外を指すのです。
「親分、笑っちゃいけませんよ」「何だ、八」「親分もあっしも同じ人間でしょう」ガラッ八の八五郎はまた変なことを言い出しました。
橋の袂に美女の裸身しはんほになすはかはすなにほんはし「吝嗇漢に茄子は買は(わ)すな日本橋――か、ハッハッハッハ、こいつは面白い、逆さに読んでも同じだ、落首もこれ位になると点に入るよ」「穿(うが)ってるぜ、畜生め、まったく御改革の今日びじゃ、五十五貫の初鰹どころか、一口一分の初茄子せえ、江戸ッ子の口にゃ入えらねえ、何んのことはねえ、八百八町、吝嗇漢のお揃いとけつからア、オロシヤの珍毛唐が風の便りに聞いて笑って居るとよ、ヘッヘッヘッヘッ」場所もあろうに、...
「八、たいそう手前は粋になったな」「からかっちゃいけません、親分」八五郎のガラッ八は、あわてて、膝っ小僧を隠しました。
心中でもしようといふ者にとつて、その晩はまことに申分のない美しい夜でした。
すべて恋をするものの他愛なさ、――八五郎はそれをこう説明するのでした。
「親分は長い間に隨分多勢の惡者を手掛けたわけですが、その中で何んとしても勘辨ならねエといつた奴があるでせうね」ガラツ八の八五郎は妙なことを訊ねました。
「やい、ガラッ八」「ガラッ八は人聞きが悪いなア、後生だから、八とか、八公とか言っておくんなさいな」「つまらねエ見得を張りやがるな、側に美しい新造でも居る時は、八さんとか、八兄哥とか言ってやるよ、平常使いはガラッ八で沢山だ。
かねやす迄を江戸のうちと言つた時代、巣鴨や大塚はそれから又一里も先の田舍で、田も畑も、武藏野の儘の木立も藪もあつた頃のことです。
「親分、変なことがあるんだが――」「お前に言わせると、世の中のことは皆んな変だよ。
「親分、世の中に怪談というものはあるでしょうか」八五郎はまた、途方もないことを持込んでくるのです。
「親分はいらっしゃる?」「まア、お品さん、しばらくねえ、さア、どうぞ――」取次のお静は、手を取らぬばかりに、石原の利助の娘で、年増っぷりの美しいお品を招じ入れました。
「親分」ガラツ八の八五郎が、泳ぐやうに飛込んで來たのは、江戸中の櫻が一ぺんに咲き揃つたやうな、生暖かくも麗らかな或日の朝のことでした。
人間業では盗めそうもない物を盗んで、遅くとも三日以内には、元の持主に返すという不思議な盗賊が、江戸中を疾風のごとく荒し廻りました。
「あ、八五郎親分じゃありませんか」江の島へ行った帰り、遅くもないのに、土蔵相模で一と晩遊んだ町内の若い者が五六人、スッカラカンになって、高輪の大木戸を越すと、いきなり声を掛けたものがあります。
「あッ、大変、嫁御が死んでいる」駕籠の戸を押しあけた仲人の伊賀屋源六は、まさに完全に尻餅をつきました。
「親分、変な野郎が来ましたぜ」ガラッ八の八五郎は、モモンガアみたいな顔をして見せました。
江戸開府以来といわれた、捕物の名人銭形平次の手柄のうちには、こんな不思議な事件もあったのです。
順風耳の八五郎は、相變らず毎日一つくらゐづつは、江戸中から新聞種を掻き集めて來るのでした。
「八、居るか」向柳原の叔母さんの二階に、独り者の気楽な朝寝をしている八五郎は、往来から声を掛けられて、ガバと飛起きました。
「親分、お願ひ、一つ出かけて下さい。
「ところで親分はどう思ひます」「ところで――と來たね、一體何をどう思はせようてんだ。
「親分、あっしはもう癪(しゃく)にさわってさわって」ガラッ八の八五郎は、いきなり銭形平次の前に、長い顎を漂わせます。
伯爵の悩み「千種君、暫らく此処へ掛けたまえ、平常あまり人が来ないから、掃除は行届かないが、その代り此(この)辺なら決して話を人に聞かれる心配は無い」私のためには旧藩主に当る元伯爵海原光栄氏は、尊大が通りものの顔を柔げて、広大な庭園の奥の、洒落た四阿の中に私を導き入れました。
「親分、金の茶釜を拝んだことがありますかい」ガラッ八の八五郎は、変なことを持込んで来ました。
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