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60分以内で読める野村胡堂の中編作品

青空文庫で公開されている野村胡堂の作品の中で、おおよその読了目安時間が「60分以内」の中編318作品を、おすすめ人気順に表示しています。

(12,001〜24,000文字の作品を対象としています。読了時間は「400字/分」の読書スピードで計算した場合の目安です)
1〜50件 / 全318件
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これは銭形平次の最初の手柄話で、この事件が平次を有名にしたのです。
本篇は、銭形平次がまだ独身で活躍している頃の話です。
「八、あれを跟(つ)けてみな」「ヘエ――」「逃がしちゃならねえ、相手は細かくねえぞ」「あの七つ下がりの浪人者ですかい」「馬鹿ッ、あれはどこかの手習師匠で、仏様のような武家だ。
「親分、子さらいが流行るんだってネ」「聞いたよ、憎いじゃないか」銭形平次は苦い顔をしました。
「親分、――ちょいと、八五郎親分」ガラッ八は背筋を擽(くすぐ)られるような心持で振り返りました。
小石川水道端に、質屋渡世で二万両の大身代を築き上げた田代屋又左衛門、年は取っているが、昔は二本差だったそうで恐ろしいきかん気。
「おっと、待った」「親分、そいつはいけねえ、先刻――待ったなしで行こうぜ――と言ったのは、親分の方じゃありませんか」「言ったよ、待ったなしと言ったに相違ないが、そこを切られちゃ、この大石がみんな死ぬじゃないか。
笛の名人春日藤左衛門は、分別盛りの顔を曇らせて、高々と腕を拱(こまぬ)きました。
「親分、飯田町の上総屋が死んだそうですね」ガラッ八の八五郎は、またニュースを一つ嗅ぎ出して来ました。
銭形平次が関係した捕物の中にも、こんなに用意周到で、冷酷無慙なのは類のないことでした。
不動明王の木像が、その右手に持った降魔の利剣で、金貸叶屋重三郎を突き殺したという、江戸開府以来の大騒ぎがありました。
「親分、このお二人に訊いて下さい」いけぞんざいなガラッ八の八五郎が、精いっぱい丁寧に案内して来たのは、武家風の女が二人。
「親分、退屈だね」「…………」「目の覚めるような威勢のいい仕事はねえものかなア。
プロローグ奇談クラブの席上、その晩の話し手天野久左衛門は、こんな調子で始めました。
二人の昼鳶「あッ、泥棒ッ」井上半十郎正景は、押っ取刀で飛出しました。
プロローグ「この物語の不思議さは、常人の想像を絶しますが、決して出たらめな作り話ではありません。
綱渡りの源吉が不思議な使い「姐御」「シッ、そんな乱暴な口を利いてはいけない」「成程、今じゃ三千石取のお旗本のお部屋様だっけ、昔の積りじゃ罰が当らア」芸人風の若い男は、ツイと庭木戸を押し開けて植込の闇の中へ中腰に潜り込みました。
「世の中には變つた野郎があるものですね、親分」ガラツ八の八五郎は、又何やら變つた噂を持つて來た樣子です。
巨万の懸賞付で奇談の競技「久し振りで此の会を開きました。
プロローグ「皆さんのお話には、譬喩と諷刺が紛々として匂う癖に、どなたも口を揃えて、――私の話には譬喩も諷刺も無いと仰しゃる――それは一応賢いお言葉のようではありますが、甚だ卑怯なように思われてなりません。
絵師の誇り霖雨と硝煙のうちに、上野の森は暮急ぐ風情でした。
物騒な話題「そんな気味の悪いお話はお止しなさいませ、それより東京座のレヴィユーが大変面白いそうじゃ御座いませんか」と話題の転換に骨を折って居るのは、主人石井馨之助氏の夫人濤子、若くて美しくて、客が好きで物惜みをしないというので、苟(いやしく)も此邸に出入する程の人達から、素晴らしい人気のある夫人でした。
「お願いで御座いますが…………」振り返って見ると、同じ欄干にもたれた、乞食体の中年の男、鳴海司郎の顔を下から見上げて、こう丁寧に申します。
プロローグそれは四回目の奇談クラブの席上でした。
「別ぴんさん勘定だよ、……こんなに多勢居る娘さんが、一人も寄り付かないのは驚いたネ、せめて、勘定だけは取ってくれよ」とてもいい心持そう。
「アラ、皆さんお揃い、よかったわねエ」素晴らしい年増、孔雀のように悠揚としてクラブの食堂に現われました。
プロローグ「痴人夢を説くという言葉がありますが、人生に夢が無かったら、我々の生活は何と果敢なく侘しく、荒まじきものでしょう。
芝三島町の學寮の角で、土地の遊び人疾風の綱吉といふのが殺されました。
「親分、聞きなすったか」「何だ、騒々しい」銭形平次の家へ飛込んで来た子分のガラッ八は、芥子玉絞りの手拭を鷲掴(わしづか)みに月代から鼻の頭へかけて滴る汗を拭いております。
「永い間斯んな稼業をして居るが、變死人を見るのはつく/″\厭だな」捕物の名人錢形の平次は、口癖のやうにかう言つて居りました。
二月のある日、歩いてゐると斯(か)う、額口の汗ばむやうな晝下がり、巣鴨からの野暮用の歸り、白山あたりへ辿りついた頃は、連の八五郎はもう、何んとなく御機嫌が斜めになつて居りました。
蔵園宗三郎の話「途方もない話をすると思う人があるかも知れませんが、これは総て私の経験した事実で、寸毫のおまけも無い、癪にさわるほど露骨な物語であります」第二話を引き受けた若い富豪蔵園宗三郎は、その秀麗な面を挙げて、少し極り悪そうに斯う話し始めました。
「親分、梅はお嫌いかな」「へえ?」銭形平次も驚きました。
八五郎は斯う言つた具合に、江戸の町々から、あらゆる噂話を掻き集めるのでした。
伽羅大尽磯屋貫兵衛の涼み船は、隅田川を漕(こ)ぎ上って、白鬚の少し上、川幅の広いところを選って、中流に碇(いかり)をおろしました。
「御免」少し職業的に落着き払った声、銭形平次はそれを聞くと、脱いでいた肌を入れて、八五郎のガラッ八に目くばせしました。
荒物屋のお今――今年十七になる滅法可愛らしいのが、祭り衣裳の晴れやかな姿で、湯島一丁目の路地の奥に殺されておりました。
錢形平次もこんな突拍子もない事件に出つくはしたことはありません。
「親分、良い陽氣ぢやありませんか。
本郷妻戀町の娘横丁、――この邊に良い娘が多いから土地の若い衆が斯んな名で呼びましたが、何時の間にやら痴漢が横行して、若い娘の御難が多く、娘受難横丁と言ふべきを省略して娘横丁と、其儘の名で呼び慣はしました。
江戸の閑人の好奇心は、途方もないところまで發展しました。
ガラツ八の八五郎が、その晩聟入をすることになりました。
「平次、少し骨の折れる仕事だが、引受けてはくれまいか」若い与力の笹野新三郎は、岡っ引風情の銭形平次に、こんな調子で話しかけました。
「親分、小柳町の伊丹屋の若旦那が來ましたぜ。
「親分」「何だ、八」「腕が鳴るね」ガラッ八の八五郎は、小鼻をふくらませて、親分の銭形平次を仰ぎました。
プロローグ吉井明子夫人を会長とする奇談クラブの席上で、話の選手に指名された近江愛之助は、斯(こ)んな調子で語り始めるのでした。
「親分、手紙が参りました」「どれどれ、これは良い手だ。
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