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野村胡堂の全作品(7ページ目)

青空文庫で公開されている野村胡堂の全作品405篇を、おすすめ人気順で表示しています。

301〜350件 / 全405件
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「親分、向島は見頃だそうですね」ガラッ八の八五郎は、縁側からニジリ上がりました。
「へツへツ、親分、今晩は」ガラツ八の八五郎、箍(たが)のはじけた桶のやうに手のつけやうの無い笑ひを湛(たゝ)へ乍ら、明神下の平次の家の格子を顎で――平次に言はせると――開けて入るのでした。
「羨ましい野郎があるもんですね、親分」夏の夜の縁先、危い縁臺を持ち出して、蚊を叩き乍ら、八五郎は斯んなことを言ふのです。
「銭形の親分さん、お助けを願います」柳原土手、子分の八五郎と二人、無駄を言いながら家路を急ぐ平次の袖へ、いきなり飛付いた者があります。
「あら松根様の若様」「――――」恐ろしい魅力のある声を浴せられて、黙って振り返ったのは、年の頃二十三四、色の浅黒い、少し沈鬱な感じですが、何となく深味のある男でした。
「親分、お早やう」飛込んで來たのは、お玉ヶ池の玉吉といふ中年者の下つ引でした。
「親分、良いお天氣ですね――これで金さへありや――」薫風に懷ろを膨らませて、八五郎はフラリと入つて來ました。
「親分、近頃つくづく考えたんだが――」ガラッ八の八五郎は柄にもない感慨無量な声を出すのでした。
「親分の前だが、女日照の國には、いろんな怪物がゐるんですね」八五郎がまた、親分の平次のところへ、世上の噂を持込んで來ました。
「親分、犬が女を殺すでしょうか」淡雪の降った朝、八五郎のガラッ八は、ぼんやりした顔で、銭形平次のところへやって来ました。
八五郎の取柄は、誰とでも、すぐ友達になれることでした。
前書き――百年前の飛行機百年前、日本には既に空飛ぶ機械が発明されて居たのでした。
「親分」「何だ八、また大変の売物でもあるのかい、鼻の孔が膨らんでいるようだが」銭形の平次はいつでもこんな調子でした。
浪人大澤彦四郎は、まことに評判の良い人でした。
「親分、金持になつて見たくはありませんか」八五郎はまた途方もない話を持ち込んで來たのです。
「親分、世の中はだんだん悪くなって来ますね」ガラッ八の八五郎は妙なことを言い出しました。
相変らず捕物の名人の銭形平次が、大縮尻をやって笹野新三郎に褒められた話。
「親分、近頃金の要るようなことはありませんか」押詰ったある日、銭形平次のところへノッソリとやって来たガラッ八の八五郎が、いきなり長い顎を撫(な)でながら、こんなことを言うのです。
「親分、良い陽気ですね」フラリとやって来た八五郎は、襟の汗を拭いて、お先煙草を五六服、お茶をガブ呑みの、継穂もないお世辞を言うのでした。
「親分、向うの角を左へ曲りましたぜ」「よしッ、手前はここで見張れ、俺は向うへ廻って、逆に引返して来る」平次とガラッ八は、近頃江戸中を荒し廻る怪盗、――世間で「千里の虎」というのを、小石川金杉水道町の路地に追い込んだのです。
「親分、お早やうございます」八五郎はいつになく几帳面に格子戸を開けて入つて來ました。
「親分、良い陽氣ですね」ガラツ八の八五郎が、鼻の頭から襟へかけての汗を、肩に掛けた手拭の端つこで拭きながら、枝折戸を足で開けて、ノツソリと日南に立ちはだかるのでした。
「親分、金儲けを好きですか」ガラツ八の八五郎、また飛んでもないことを言ひ出すのです。
「親分、近頃は胸のすくような捕物はありませんね」ガラッ八の八五郎は先刻から鼻を掘ったり欠伸をしたり、煙草を吸ったり全く自分の身体を持て余した姿でした。
「親分、美い新造が是非逢わしてくれって、来ましたぜ」とガラッ八の八五郎、薄寒い縁にしゃがんで、柄にもなく、お月様の出などを眺めている銭形の平次に声を掛けました。
「親分、美い新造が是非逢はしてくれつて、來ましたぜ」とガラツ八の八五郎、薄寒い縁にしやがんで、柄にもなく、お月樣の出などを眺めてゐる錢形の平次に聲を掛けました。
「親分の前だが、あつしも今度ばかりは、二本差が羨ましくなりましたよ」ガラツ八の八五郎は、感にたへた聲を出すのでした。
「親分、お早う」ガラッ八の八五郎は、顎をしゃくってニヤリとしました。
「親分變なことを訊くやうですがね」ガラツ八の八五郎は、こんな調子できり出しました。
「親分、大変な野郎が来ましたぜ」ガラッ八の八五郎は、拇指で自分の肩越しに指しながら、入口の方へ顎をしゃくってみせます。
三田四國町の大地主、老木屋勝藏の養父で今年六十八になる八郎兵衞は、その朝隱居所の二階で、紅に染んだ死骸になつて發見されました。
「親分、近頃江戸にも、變なお宗旨があるんですつてね」ガラツ八の八五郎、何を嗅ぎ出したか、小鼻を膨らませて、庭口からノソリと入つて來ました。
「親分、あつしのところへ、居候が來ましたよ」八五郎がまた、妙な報告を持つて來ました。
「へツ、へツ、へツ、親分」ある朝、八五郎が箍(たが)の外れた桶(をけ)見たいに、笑ひながら飛び込んで來ました。
「親分は源氏ですか、それとも平家ですか」ガラツ八の八五郎は、いきなりそんなことを言ふのです。
「親分、退屈だね」ガラッ八の八五郎は、鼻の穴で天文を観るような恰好を取りました。
深川熊井町の廻船問屋板倉屋万兵衛、土蔵の修復が出来上がったお祝い心に、出入りの棟梁佐太郎を呼んで、薄寒い後の月を眺めながら、大川を見晴らした、二階座敷で呑んでおりました。
「親分、笑っちゃいけませんよ」「嫌な野郎だな、俺の面を見てニヤニヤしながら、いきなり笑っちゃいけねえ――とはどういうわけだ」銭形平次とガラッ八の八五郎は、しばらく御用の合間を、こう暢気な心持で、間抜けな掛合噺のような事を言っているのが、何よりの骨休めだったのです。
「親分、何をして居なさるんで?」ガラツ八の八五郎は、庭口からヌツと長い顎を出しました。
「親分、とうとう神田へ入って来ましたぜ」「何が?風邪の神かい」その頃は江戸中に悪い風邪が流行って、十二月頃から、夜分の人出がめっきり少なくなったと言われておりました。
「わツ驚いたの驚かねえの」ガラツ八といふ安値な異名で通る八五郎は、五月の朝の陽を一パイに浴びた格子の中へ、張板を蹴飛ばして、一陣の疾風のやうに飛び込むのでした。
「八、今のはなんだい」「ヘエ――」銭形の平次は、後ろから跟(つ)いて来る、八五郎のガラッ八をふり返りました。
「親分、折入つてお願ひがあるんですが」ガラツ八の八五郎は、柄にもなく膝小僧を揃へて、斯う肩を下げ乍ら、小笠原流の貧乏搖ぎをやつて見せるのでした。
「親分、日本橋の騷ぎを御存じですかえ」「知らないよ。
「親分、松が除れたばかりのところへ、こんな話を持込んぢや氣の毒だが、玉屋に取つては、此上もない大難、――聽いてやつちや下さるまいか」町人乍ら諸大名の御用達を勤め、苗字帶刀まで許されてゐる玉屋金兵衞は、五十がらみの分別顏を心持翳(かげ)らせて斯う切出しました。
その日、三河屋に集まった客は四人、将棋にも碁にも飽きて、夕刻からは埒(らち)もない雑談に花が咲きました。
「親分、何をしていなさるんで?」ガラッ八の八五郎は、庭口からヌッと長い顎を出しました。
「親分、面白くてたまらないという話を聞かせましょうか」ガラッ八の八五郎は、膝っ小僧を気にしながら、真四角に坐りました。
「親分の前だが、この頃のように暇じゃやりきれないね、ア、ア、ア、ア」ガラッ八の八五郎は思わず大きな欠伸をしましたが、親分の平次が睨(にら)んでいるのを見ると、あわてて欠伸の尻尾に節をつけたものです。
鼻観外道「この話の面白さに比べると、失礼だが今まで語られた奇談は物の数でもない、――と言うと、アラビアン・ナイトのお妃の極り文句のようですが、私は全くそう信じ切って居るのです」奇談クラブの集合室で、話の競技の第五番目に選手として立った春藤薫は、十三人の会員達の好奇に燃ゆる顔を見渡し乍ら、斯う言った調子で始めました。
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