10分以内で読める宮本百合子の短編作品（4ページ目）

すこし物ごとを真面目に考える今日の世代の若い人たちが、自分たちの結婚生活に入ろうとするとき、生涯向上する情熱を喪わない夫婦として生きたいと願わない人はおそらくないだろうと思う。

外国の映画がこれまでのように輸入されなくなったということが、日本映画の製作を刺戟して、優秀な作品のいくつかを生み、その水準も高めたというのは実際であるし、そういう外部的な事情をぬきにしても、直接日本の生活の種々相が描かれ、語られ、示されている日本の映画というものは私たちに深い親密さと期待とを抱かせていると思う。

ある種の人々にとって、恋愛はそう大した人生の問題でなく感じられているかもしれない。

わかい、気のやさしい春は庭園に美しい着物を着せ――明るい時――林町の家の、古風な縁側にぱっと麗らかな春の白い光が漲り、部屋の障子は開け放たれている。

七巻の美しい立派な映画は、ソヴェト同盟が、世界じゅうのあらゆる婦人のために、婦人の幸福とそれはどうして守られなければならないかを知らせるためにこしらえたものです。

町から、何処に居ても山が見える。

佐藤春夫氏の提唱によって、文芸懇話会の解散後「新日本文化の会」が出来た。

「保姆」いろいろの意味で興味ふかく観た。

一月のある寒い日のことだ。

火野葦平さんが先頃帰還されて、帰還兵の感想という文章を新聞にかいていました。

いつの時代でも、技師や官吏になろうとする人の数より、作家になろうとする青年の数はすくなかった。

十一月のお祭りのうちのある午後、用事で銀座へ出かけていたうちの者が、帰って来て、きょうは珍しいものを見たの、といった。

小説をかくひととしての壺井栄さんが人々の前にあらわれたのは一九三八年（昭和十三年）の末のことであった。

秋の景色（十一月初旬）○曇り日日曜。

小さい年表をこしらえる仕事がきっかけとなって、先頃古い出版年鑑をくりかえして見た。

ふだん近くにいない人々にとって、岡本かの子さんの訃報はまことに突然であった。

第一次五ヵ年計画のおおうべくもない達成、ひきつづき発表された第二次五ヵ年計画の基本的方針とともに、ソヴェト同盟がプロレタリア文学運動の領域において、社会主義的リアリズムの問題を国際的に提起したことはわれわれにとって実に興味あることです。

アイヌの部落も内地人の影響を受けて、純粋のアイヌの風俗はなくなって行きますが、日高国の平取あたりに行ってみると、純粋のアイヌの気分を味う事が出来ます。

パァル・バックはアメリカ人であるが中国で成長して、中国の生活を小説にかく婦人作家である。

去年の丁度秋頃の事でした、私は長い旅行に出掛ける準備で、よく紐育市のペンシルバニアと云う停車場へ行き行きしました。

志賀直哉氏編、座右宝の中に、除熙の作と伝えられている蓮花図がある。

伝統的な女形と云うものの型に嵌って終始している間、彼等は何と云う手に入った風で楽々と演こなしていることだろう。

私たちの日常生活にある歴史の感覚というものを考えてみると、いろいろ非常に興味ふかくもあり同時にこわいようなところがある。

「春」と云う名のもたらした自然の賜物の中にすべての美がこめられて私達の目前に日毎に育って居る。

女学校しか出ていない日本の女性に、「学生生活」の思い出というようなものがあるだろうか。

石川達三氏の「結婚の生態」という小説について、これまで文学作品として正面からとりあげた書評は見当らなかった。

地球の人口はおよそ二十一億余ある。

ふつか小雨が降って、晴れあがったら、今日は山々の眺めから風の音まで、いかにもさやかな秋という工合になった。

今年の文学ということについて大略の印象をまとめようとすると、一つの特徴的な様相がそこに浮んで来るように思う。

新聞週間がはじまって、しばらくしたら「新聞のゆくところ自由あり」という標語があらわれた。

六月下旬にパリで四日間に亙って開催された国際ペンクラブの第十五回大会に、有島生馬氏や井上勇氏、久米正雄氏などが出席したことが新聞に出ている。

今月、私のところへ送られて来た原稿は全部で十篇でありましたが、その殆どが、働いている女性の生活記録であり、さもなければ外に出て働いていなくても家庭で無くてはならない人として暮している女性たちの文章でした。

近代企業としての映画は、経営の上にも技術の上にも急速な発達をとげているのだが、映画に扱われている女の生活というものは一様にある水準に止まっている。

活字となって雑誌に発表された処女作の前に、忘れることの出来ない、もう一つの小説がある。

黄色いモスクワ大学の建物が、雪の中に美しく見える。

三度めのメーデーが来る。

杏の若葉宮本百合子「おや、時計がとまっているでないか」母親の声に、ぬいは頭をあげ、古い柱時計を見上げた。

ルネッサンスという時代が、人間理性の目ざめの時期でレオナルド・ダ・ヴィンチを産みながら一方では魔力が人間生活に直接関係するということをまだ信じていた野蛮な時代であったという事実を、はっきり会得しなければならないと思う。

奇妙な夢を見た。

或る洋画家のところへ、来月お金が入ることになった。

去る四月一日の『大学新聞』に逸見重雄氏が「野呂栄太郎の追憶」という長い文章を発表した。

夏になると、ソヴェトのピオニェールは、たいてい避暑にでかける。

近くには黄色く根っ株の枯れた田圃と桑畑、遠くにはあっちこっちに木立と森。

いよいよ、四月十日も迫って参りました。

私達が生きてゆく間には、千変万化の波瀾をくぐる。

家中寝鎮まったものと思って足音を忍ばせ、そーッと階下へおりて行ったら、茶の間に灯がついていて、そこに従弟が一人中腰で茶を飲んでいた。

数年の間、私はいろいろのことから帝展というものを観ないで過して来た。

午後六時窓硝子を透して、戸外の柔かい瑠璃色の夕空が見える。

十二月十七日から三日の間に行われた協力会議で、婦人の問題で高良富子さんが、婦人局の設置の案を提出した。

細い流れがうねって引込んである。