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60分以内で読める野村胡堂の中編作品(4ページ目)

青空文庫で公開されている野村胡堂の作品の中で、おおよその読了目安時間が「60分以内」の中編318作品を、おすすめ人気順に表示しています。

(12,001〜24,000文字の作品を対象としています。読了時間は「400字/分」の読書スピードで計算した場合の目安です)
151〜200件 / 全318件
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「親分、変なことがありますよ」「何が変なんだ。
「親分、あつしはもう口惜しくて口惜しくて」八五郎はいきなり怒鳴り込むのです。
覆面の女達武蔵野の片ほとり、軒端に富士を眺めて、耳に多摩川の瀬の音を聞こうと言った場所にいとも清浄なる一宇の堂が建って居りました。
「世の中に、金持ほど馬鹿なものはありませんね」「貧乏人は皆んな、そんな事を言ふよ、つまらねえ持句さ」平次と八五郎は、相變らず空茶に馬糞煙草で、いつものやうな掛け合ひを始めて居ります。
「お早やうございます」花は散つたが、まだ申分なく春らしい薄靄のかゝつた或朝、ガラツ八の八五郎は、これも存分に機嫌の良い顏を、明神下の平次の家へ持込んで來ました。
「八、目黒の兼吉親分が来ていなさるそうだ。
相變らず捕物の名人の錢形平次が大縮尻をやつて笹野新三郎に褒められた話。
「八、何んか良い事があるのかい、大層嬉しさうぢやないか」「へツ、それほどでもありませんよ親分、今朝はほんの少しばかり寢起がいゝだけで――」ガラツ八と異名で呼ばれる八五郎は、さういひ乍らも湧き上がつて來る滿悦を噛み殺すやうに、ニヤリニヤリと長んがい頤(あご)を撫で廻すのでした。
「ね、親分、こいつは珍しいでしょう」ガラッ八の八五郎は、旋風のように飛込んで来ると、いきなり自分の鼻を撫(な)で上げるのでした。
小網町二丁目の袋物問屋丸屋六兵衛は、とうとう嫁のお絹を追い出した上、倅(せがれ)の染五郎を土蔵の二階に閉じ籠めてしまいました。
師走に入ると、寒くてよく晴れた天気がつづきました。
「わツ、親分」まだ明けきらぬ路地を、鐵砲玉のやうに飛んで來たガラツ八の八五郎。
ガラッ八の八五郎はぼんやり日本橋の上に立っておりました。
「親分、是非逢ひ度いといふ人があるんだが――」初冬の日向を追ひ乍ら、退屈しのぎの粉煙草を燻(くゆら)して居る錢形平次の鼻の先に、ガラツ八の八五郎は、神妙らしく膝つ小僧を揃へるのでした。
「親分、あつしはもう癪(しやく)にさはつて――」ガラツ八の八五郎は、拳骨で獅子ツ鼻の頭を撫で乍ら、明神下の平次の家へ飛び込んで來ました。
「親分、変なことがありますよ」八五郎のガラッ八が、長い顔を糸瓜棚の下から覗かせたとき、銭形の平次は縁側の柱にもたれて、粉煙草をせせりながら、赤蜻蛉の行方を眺めておりました。
「あれを聴いたでしょうね、親分」ガラッ八の八五郎は、この薄寒い日に、鼻の頭に汗を掻いて飛込んで来たのです。
「親分、何んかかう胸のすくやうなことはありませんかね」ガラツ八の八五郎は薄寒さうに彌造を構へたまゝ、膝小僧で錢形平次の家の木戸を押し開けて、狭い庭先へノソリと立つたのでした。
三河町一丁目の大元締、溝口屋鐘五郎の家は、その晩割れ返るような賑わいでした。
「親分、何かこう胸のすくようなことはありませんかね」ガラッ八の八五郎は薄寒そうに弥蔵を構えたまま、膝小僧で銭形平次の家の木戸を押し開けて、狭い庭先へノソリと立ったのでした。
「八、厄介なことになったぜ」銭形の平次は八丁堀の組屋敷から帰って来ると、鼻の下を長くして待っている八五郎に、いきなりこんなことを言うのです。
ガラッ八の八五郎が、その晩聟入りをすることになりました。
「こいつは可哀想だ」銭形平次も思わず顔を反けました。
奉行に代って「お駒さん、相変らず綺麗だぜ」「あら、権次さん、お前さんは相変らず口が悪いよ」「口の悪いのは通り者だが、お駒さんの綺麗なのと違って罪は作らねえ」「何を言うのさ、いきなり悪口を言ったり、好い児になったり」二人は顔を合せさえすれば、斯(こ)んな調子で物を言う間柄だったのです。
「親分、あれを御存じですかえ」ガラッ八の八五郎はいきなり飛び込んで来ると、きっかけも脈絡もなく、こんなことを言うのでした。
飯田町の地主、朝田屋勘兵衞が死んで間もなく、その豪勢な家が、自火を出して一ぺんに燒けてしまつたことがあります。
「いやもう、驚いたの驚かねえの」八五郎がやつて來たのは、彼岸過ぎのある日の夕方、相變らず明神下の路地一パイに張り上げて、走りのニユースを響かせるのでした。
第三の話の選手「道具立てが奇抜だから話が奇抜だとは限りません。
兩國橋を中心に、大川の水の上にくり擴(ひろ)げられた夏の夜の大歡樂の中を、龜澤町の家主里見屋吉兵衞の凉み船は、上手へ、上手へと漕いで行きました。
「親分、ちよいと智慧を貸して下さい。
「親分、良い陽氣ですね」「何んだ、八にしちや、大層お世辭が良いぢやないか。
「親分、小柳町の伊丹屋の若旦那が来ましたぜ、何か大変な事があるんですって」「恐ろしく早いじゃないか、待たしておけ」「ヘエ――」平次は八五郎を追いやるように、ガブガブと嗽(うがい)をしました。
「親分、間拔けな武家が來ましたよ」縁側から八五郎の長んがい顎が、路地の外を指さすのです。
「旦那よ――たしかに旦那よ」「――」盲鬼になつた年増藝妓のお勢は、板倉屋伴三郎の袖を掴んで、斯う言ふのでした。
その頃の不忍の池は、月雪花の名所で、江戸の一角の別天地として知られました。
「親分、小便組といふのを御存じですかえ」八五郎は長んがい顎を撫でながら、錢形平次のところへノソリとやつて來ました。
「旦那よ――たしかに旦那よ」「…………」鬼になった年増芸妓のお勢は、板倉屋伴三郎の袖を掴(つか)んで、こう言うのでした。
「親分、變な野郎が來ましたぜ」ガラツ八の八五郎、横つ飛びに路地を突つきつて、庭口から洗濯物をかきわけながら、バアと縁側へ顏を出しました。
「親分、平右衞門町の忠義酒屋といふのを御存じですかえ」「名前は聞いて居るが、店は知らないよ」ガラツ八の八五郎は何んかまた事件を嗅ぎ出して來た樣子です。
「親分、あツしもいよ/\來年は三十ですね」錢形平次の子分、愛稱ガラツ八こと八五郎は、つく/″\こんなことを言つて、深刻な顏をするのでした。
「親分、親分が一番憎いのは何んとか言ひましたネ」ガラツ八の八五郎、入つて來るといきなりお先煙草の烟管を引寄せて、斯んな途徹もないことを言ふのです。
千代之助の悲しい望二人は葉蔭の濡れ縁に腰をおろして、夕陽の傾くのを忘れて話し込んで居りました。
「親分、ウフ、可笑しなことがありましたよ、ウへ、へ、へツへツ」ガラツ八の八五郎が、タガの弛(ゆる)んだ桶(をけ)のやうに、こみ上げる笑を噛みしめ噛みしめ、明神下の平次の家に入つて來ました。
「親分、大變な者が來ましたよ」子分の八五郎、ガラツ八といふ綽名の方がよく通るあわて者ですが、これでも十手捕繩を預かる、下つ端の御用聞には違ひありません。
「親分、良い陽気じゃありませんか。
「親分、變な奴が來ましたよ」ガラツ八の八五郎は、長んがい顎を鳶口のやうに安唐紙へ引つ掛けて、二つ三つ瞬きをして見せました。
「平次、狸穴まで行ってみないか、竹光で武家が一人殺されたんだが――」与力笹野新三郎は、ちょうど八丁堀組屋敷に来合せた、銭形平次を誘いました。
元飯田橋の丁子風呂の女殺しは、物馴れた役人、手先もたった一目で胸を悪くしました。
「へツへツ、へツへツ、隨分間拔けな話ぢやありませんか」ガラツ八の八五郎が、たがが外れたやうに笑ひながら、明神下の平次の家に笑ひ込むのです。
銭形平次はお上の御用で甲府へ行って留守、女房のお静は久し振りに本所の叔母さんを訪ねて、「しいちゃんのは鬼の留守に洗濯じゃなくて、淋しくなってたまらないから、私のようなものを思い出して来てくれたんだろう」などと、遠慮のないことを言われながら、半日油を売った帰り途、東両国の盛り場に差しかかったのは、かれこれ申刻(四時)に近い時分でした。
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